8月は金曜や月曜にちょろっと夏休み(と呼ぶには大げさだけど、休み)を取れたので、『からくりサーカス』という漫画を全巻読んだのだった。
なるべくネタバレ無しで感想を書く。
実はこの作品は、サンデーで連載中に読んでいたのだけど、盛り上がりに盛り上がったサハラ砂漠編の最後でとんでもない展開があって「えー! ここで完結しないの! 何じゃそれー!」とズッコケて読むのを止めてしまった思い出がある…。ちょっと前にうしとらを再読したこともあって、まとまった休みに改めて最初から読んでみようと思い至って読み始めたところ、とんでもなく面白く、最後まで一気に読んでしまった。
「サーカス編」と「からくり編」が交互に語られて、後に「からくりサーカス編」として一つになって行くのだけど(以前はここを読む前に脱落)、物語がどんどん加速して半端ない勢いで伏線を回収して行く様は痛快だった。
ラスボス登場時に過去の言動と矛盾してるんじゃないかとか、才賀勝の主人公補正が強過ぎるんじゃないかとか、ちょこちょこ思うところはあるのだけど、少年漫画はこれで良いのだ。熱ければ細かいことは気にしない。
好きなキャラが沢山思い付き過ぎて困るのだけど、
何と言っても『からくりサーカス』は悪役が光っていた。
僕は悪役が倒されてあっさり改心してしまうような話よりも、悪役があくまで悪役の立ち位置を保ったままに主人公達から影響を受けて成長して行くようなプロットがとても好きなのである。ちょうど『HUNTER×HUNTER』で連載中のキメラアント編なんかも、こういうストーリーと言えるだろう。*1
パンタローネ、アルレッキーノ、コロンビーヌたち『最古の四人』は、他の自動人形達とは文字通り役者が違った。どんどん成長して行くので目が離せない。
ギイについては、何を書いてもネタバレになってしまうのが辛いところなのだけど、兄としての生き様を見付けた時のカッコ良さが尋常でない。ただのマザコンだと思ってたのに!
アンジェリーナは「あちきは主さんの笑顔が、いっち好き!」のコマで陥落。
それにしても長い作品だ。単行本で全43巻、だらだらとした展開も少ないので、普通の少年漫画3作品分くらいの内容がぶち込まれていると言って良い。しかも1巻に繋がる謎が明かされるのが27巻なんだぜ。よくこんな大風呂敷を広げて畳んだものだ。
言い訳するみたいで見苦しいのだけど、この作品を週刊連載で楽しむのは、なかなかに大変だと思う…。ちょうど完結した当時、毎週サンデーを買ってる友人が「『からくりサーカス』完結したよ」と言ってるのを聞いて「えっ、まだ連載してたの!?」とびっくりしたもの。
同じ作者が連載中の『月光条例』も、最初は読んでいたものの、だんだん辛くなって読むのを止めちゃったのだけど、これも完結してから単行本で一気に読むと凄まじく面白いのかもしれない。
*1 だから『HUNTER×HUNTER』という作品は、悪役にスポットの当たっている幻影旅団編とキメラアント編以外のエピソードは余り好きじゃない。
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