イタリアから2年ぶりの来日となるDGMと、初来日のElvenkingによるカップリングツアーの名古屋公演を見に行ってきた。
前回2014年のDGMライブでは東海道新幹線トラブル & 前座バンド多過ぎという要因によりほとんど見られなかった無念から反省し、この日は名駅エリアで宿を取って万全の態勢で臨んだのだった。
今回のツアーはサポートアクトとして日本の2バンドがブッキングされており、前回の「メイン登場まで4バンド」という苦行に比べれば、ある程度は良心的であったと言えよう。
実はこの日1番楽しみにしていたのがフォークメタルバンドのElvenkingで、彼らが日本盤デビューした2006年のアルバムは気に入ってて今でもちょくちょく聴いている。輸入盤で購入済みの最新作もかなり良かったので見る機会ができて嬉しい。会場の物販コーナーでは過去作品も売っていたので持ってないアルバムを1枚買った。
会場がやや白けムードかつ客入りも50人程度という厳しい環境ではったものの、気分を悪くする素振りを一切見せずに演奏してくれたのが嬉しかった。
Elvenkingはフォークメタルと言ってもデス・ブラック要素は少なくて、メロパワやポップミュージックの影響が感じられるシンガロングできそうな曲が多くて大変楽しい。ロックフェスなんかに出演しても受けるタイプのバンドだと思う。
演奏時間もたっぷり1時間以上あって、フォーク要素を一手に引き受けるヴァイオリンはソロ演奏の時間も設けられて、この頃には客入りも増えて盛り上がっていた。
Elvenkingで会場が温まったところでメインアクトのDGMが登場。会場も仕事帰りと思しきスーツ姿のサラリーマンが増え、かなり良い感じの活況だった。
さすがはメインを張るだけあって「ザ・プログレ」「ザ・ネオクラ」と言わんばかりのカッチリした演奏陣は、この日の登場バンドの中でも段違いなのだった。ソロパートで掛け合いするギターとキーボードの2人も凄いし、その裏で5弦ベースがブイブイ走っているのも凄い緊張感だった。ハゲ & ヒゲのボーカルも息ひとつ乱れないのでとんでもない。
完成されたショウをひたすら見せられている感じで、Elvenkingの時みたいに観客も一緒に楽しむムードではなかったけど、今回は最後までしっかり見られて良かった。
アンコールではお約束(?)になっているらしい『愛をとりもどせ!!』のメタルカヴァー版を披露。この音源はYouTubeにもアップされているので気になる人は視聴してみよう。メタルオタク豆知識を披露すると、この音源を録った当時のバンドメンバーは脱退してほとんど残っていなかったりするのだが……。何故そんな昔の曲をセットリストに入れてるんだろう。やっぱり日本へのファンサービスなのかな。
演奏終了は22:10くらいで、帰られなくなるような時間ではなかった。まぁ時間を気にせず最後まで楽しめたので、次からも登場バンドの多そうなライブでは宿泊場所を確保するかも。
名駅西エリアにあるビジネスホテルのニュースターナゴヤというところに泊まった。ここが5,000円前後で泊まれて、名古屋駅の東海道新幹線口から出て歩いて5分程度で、1泊するだけなら必要にして十分という感じで好印象だった。
近年は本当にどこのビジネスホテルも高騰していて、この立地で(部屋は広くないものの)清潔さも水回りにも不満が無くてリーズナブルな宿はありがたい。多分次も使います。
業務で運用にそれほど深く関わることは少ないのだけど、前から気になっていた本だったので同僚の人に貸してもらって読んでみた。
FlickrやPicnikといった米国の大手Web企業に買収された大規模サービスで実際の運用に腕を振るったエンジニア達の経験や失敗談を通して「オペレーションエンジニア」というキャリアの考え方を説いている。
継続的インテグレーションの文脈に通じるような、知ってる話もあれば、「運用の一線で働いてる人たちはこういう考え方をするのか」と知らなくて新鮮だった話もあった。強く印象に残ったのは以下のような点である。
7章「いかにして複雑なシステムは失敗するか」は、ウェブオペレーション領域における事故・インシデントの起きる理由を考察している。
事故を「根本原因」に結び付けるのは基本的に間違いであるという主張が凄く分かる。
事故は複数の欠陥によって成立しているのであって、単独の「原因」が存在するわけではない。複数の要因が存在するのである。それぞれの要因は事故を成立させるのに必ずしも十分なものではない。それらが組み合わさることでのみ、事故は作られるのである。実際、事故に必要な環境を作っているのは、要因の集まりなのだ。つまり、事故の「根本原因」などあり得ないのである。「根本原因」をもとに評価をするのは、失敗の本質に関する技術的な理解からではなく、結果に対して社会的あるいは文化的な何らかの非難が必要だったものと考えらえれる。
「振り返り」という名の突き上げ会でありがちな光景である。根本原因を求め過ぎると、じゃあそれを防止するために次からは再発防止を講じましょうとなるんだけど、あまりに防御的になって行って、どうにもならないリリース手順が出来上がったりするものである。
これはどの章という訳ではなく、全体を読んで感じた点で、ウェブオペレーション分野でも、やはりどんどん変わって陳腐化して行くスキルと、「賞味期限の長い」価値の変わりづらいスキルとあるんだなということ。
本書は2011年に日本語訳され、原書は2010年に執筆されているのだけど、例えば以下のトピックは5年経った2016年現在も価値の変わらないスキルのように見える。
逆に流れが速くて3年後や5年後は分からないなと感じたのは、構成管理ツール(本書ではChefとPuppetの名前が挙がっている)と、それらを利用した継続的なデプロイ回りのノウハウ分野で、2016年現在でも重要スキルではあるのだけど、もうPaaSやコンテナのような使い捨て環境で済む領域も広がって来ている実感がある。
やっぱり自分の時間を投資するなら、将来無駄にならないものが良いんだよなぁ。色々と考える契機になった意味でも、良い本でしたね。
Scrum Allianceによる公式の研修である3日間の「認定スクラムマスター研修」に参加し、研修をパスしてオンライン試験の受講資格を与えられ、オンライン試験も合格点に達して認定スクラムマスターとなった。
僕は熱心なアジャイルの信奉者という訳でもなくて、どちらかと言えば、テストコードも書かないのにアジャイルだアジャイルだと連呼している「なんちゃってアジャイラー」が苦手だった。苦手だった、というか、今でも苦手です。
ただ、自分のチームでスクラムを導入して、いつかのWEB+DB PRESSで知った星取表といった仕組みも実践して行くうちに、これは結構良いものかも知れないなと考えるようにはなっていた。とは言え、自身がスクラムマスターをやりたいとは思っていないし、志望したこともない。
そんな僕が今回の研修に参加することとなったきっかけは、端的に言えばタイミングと自身の好奇心によるところが大きい。どうもこの研修コースは1人30万円近い費用が発生するらしく、スクラムマスターを担当している社員向けに予算だけは確保してあったものの「そんなに高額な研修に参加して試験合格しなかったら恥ずかしい、会社に申し訳ない」といった人ばかりで、参加枠がずっと1つ余っている状況だった。
そこで研修日程の直前に社内トレーナーの人から「どうですか? 雷悶さんならきっと合格しますよ!」と勧められ、根がケチな僕は「(30万円の研修コースがタダだって!?) 参加したいです! 行きます!」と快諾したのだった。本音を言えば、自分達の実践するスクラムがどの程度正しいものか、答え合わせしたいといった気持ちもあった。
3日間ずっと缶詰めになっての研修は、はっきり言って毎日が吐きそうになるほど大変だった。軽い気持ちで参加したことをガチで後悔した。
しかしながら、講師を務めた認定スクラムトレーナー(CST)の人が教える内容はとても面白く、ためになった。自分としては以下のような内容が強く印象に残った。
特に最後のやつは痛快で、「あっ、これって僕が嫌いな、なんちゃってアジャイラーのことじゃん」と腑に落ちたのだった。
研修を通して、自分達がそこそこ上手く実践できていた点、ちゃんと理解できておらず上手く回っていなかった点を明確にすることができた。中でもプランニングポーカーの勘所(ポイントが揃わなかった時は、議論させるのではなく認識の差を述べさせる点)を復習できたのは大きかった。
スクラムマスターは組織にとってのサーバントリーダーであると解説された時も、「あ、大人気ポッドキャストで度々登場するサーバントリーダーって、アニメの話ばっかりでサッパリ意味分からなかったけど、こういうことか」と初めて理解した。自律的なチームを作るための奉仕者みたいなことだったんだな。
研修後に受けたオンライン試験は35問の4択回答方式で、研修内容をよく思い返せば確実に回答可能な設問もあれば、初見のように感じられる設問もあった。32問正解で合格できた。これから受ける人には、なるべく研修の記憶が鮮明なうちに挑戦する方が良いと僕は思った。
20名以上だった参加者の大半は、僕と同じように、会社から費用負担してもらっての参加だったが、中には自腹で参加しているソシャゲ業界の人も居て、(皮肉ではなく)意識高いなぁと感心したのだった。自腹だったら僕はとても参加できないよ……。株式投資に回しちゃうよ。
あらためて実感したのは、日本のIT業界では人脈ツールとしてFacebookが大事なポジションにあるという点だ。
参加者の中で、セガの人を見付けて、セガのファンボーイである僕はミーハーな気持ちで名刺をもらったりFacebookで友達になって喜んでいたが、後になって今回Facebookで繋がった面々を見返してみると、IT業界で名の知れた大企業の人や、WebスタートアップでCTOを務めている人など、色んな人との繋がりが出来ていた。こういった効果は研修参加前の期待値として持っておらず、思わぬ収穫になったと感じたのだった。
余談だがセガの人は『龍が如く』シリーズに関わっていて、「すみません、『シェンムー』なら遊んだんですが……」と、自分が『龍が如く』を遊んでいなかったことを後悔した。正直に「もう据置機を遊んでません、でもセガが据置ハード出したら買います」と平謝りしておいた。謝るように見せかけて遠回しに新しいセガハードを要求しており、かなりウザいし重い。
話をFacebookに戻すと、いつか管理職業務に嫌気がさして現在の会社を辞めてしまったとして、今回できた人脈から思わぬ新天地が決まることだってあるかも知れない。LINEではこんなことは起こりえないよね。だってLINEは同窓会とかの日取りを決めるためのツールだからな!
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