ねんがんの、と言うほどの熱量は無いけど数日前にNintendo Switch 2を開封しゲーマー復帰し徐々にビデオゲーム熱が再燃しているところで、幸運にも友人うっしー氏がニンテンドーミュージアムに当選したので初めて行ってきた。
先に結論を書いてしまうと ビデオゲームを遊んで過ごした経験がある人にとっては行く価値がある施設 です。
僕の「もともとあまり乗り気じゃなかったけど行ってみたら面白かった」経験として直近では9月に行った大阪・関西万博があり、万博とは別ベクトルでとても面白かったです。何と言ったらいいのかね……大屋根リングを始め規模や予算は間違いなく万博の方が100倍以上かかってるのですがニンテンドーミュージアムには「神や細部に宿る」的なこだわりというのか「狂気」があるのですね。任天堂社員たち(それぞれがとても優秀で本気で娯楽と向き合っている人たち)が、自社の製品と挑戦の歴史を未来に遺すんだという、大人が真剣に卒業制作へ取り組むような、静かな狂気と遊び心があった。
会場もかつてハードの修理を行っていた「宇治小倉工場」跡地を再利用したもので、遠目に見た印象は明らかにショボい(大屋根リングに近付いて行くときの圧巻さ・雄大さとは比較にならない)のですが、少しずつ見て回っているうちに、細部へのこだわりと狂気から「あれっ、これもしかしてすごいのか?」と圧倒されてしまう。立地にもストーリー性というかナラティブが存在するよね。地下鉄直通の近鉄「小倉駅」でアクセスし易いものいい。
あと とにかく混雑が発生しない よう入場者数をかなり絞っているのがすごい。だって収益化したいなら入場者数を絞らず万博やテーマパークよろしくどんどん呼び込めばいい訳ですよ。目的は収益化でない(おそらく展示を見て欲しい)から絞っている。これで入館料が大人1名3,300円(税込)は常軌を逸しているというか、明らかに利益度外視なんだけど、もしかしたら物販でお金を落とす人が多そう(後述)だから、「儲ける気は無く始めた事業だけど儲かってしまった」状態かも知れない。この辺はいち株主として、今後の決算資料でも注目したい。
入場できる数に対しスタッフの数が尋常でなく多く(当然のように多言語話者ばかり)、あまり他のテーマパークやミュージアムでは見ない体験ができる施設になっている。繰り返すけど、大人1名3,300円を徴収するだけだと絶対に赤字事業ですよこれ。手荷物検査も万博ばりにしっかりやってるし。どんだけ手間かけてるんだ。

僕は元セガファンなので、思い入れある任天堂ハードはこんな感じ。
同行者のうっしーも現地でだべってた印象から多分こんな感じ。
こういう感じでお互いのゲーム遍歴を昔語りしながら展示を見るのが楽しい施設だったので ソロ鑑賞はかなりキツい と思った。
施設の動線やスタッフの対応も2人グループや4人グループ・家族連れにかなり最適化されていた印象を受けました。
4人グループ来館者の多くは土管エリアに大喜びで、フォトスポット化していた。これ土管の中を覗き込むと、ちゃんと排水口になってるんだよね~。機能的だ~。 すべての土管がそうなってる 。狂気コワ~。

歴代タイトルの任天堂公式ガイドブックシリーズ(いわゆる攻略本)がずらっと並べられていたり、歴代ハードと地域別(日本・北米・その他)売上比率やハードを代表するゲームタイトルもそこら中に展示されていて、これを見ているだけでも時間が溶ける。
任天堂のタイトルだけかと思いきや、スクエニやコナミといったサードパーティのタイトル(ドラクエ・FF・ロマサガ・ゴエモン・桃鉄などなど)もちゃんと展示されていた。あと、個人的にはファイアーエムブレムシリーズが「任天堂が持っている主要IPのひとつ」という格で扱われていたのがとても嬉しかった。デザインラフや企画書が展示してあるエリアにも、ちゃんとファイアーエムブレムの資料がマリオやゼルダと同格扱いであったし(当然だが鑑賞している人数が多いのは圧倒的にマリオやゼルダの資料)。
体感コーナーもウルトラハンドSPやクソデカコントローラーで遊ぶスーファミタイトルなど、なかなか楽しめた。人気アトラクションは最大45分待ちくらいで、並んでないアトラクションは待ち時間ゼロで遊び放題といった感じ。
大して期待していなかった分とても感動したのが併設のカフェで、運営そのものは外部の事業者に委託しているようだけど、ここでも兎に角スタッフが多いのと、QRコードによる事前注文方式(そこらの居酒屋と違ってフリーWi-Fiスポット完備、えらい)で、ピークのランチタイムでも最大30分待ち(13:30-頃からの空いてる時間帯だとほぼ待ち時間が無さそう)だった。お値段はそれなり(バーガー・ポテト・ドリンクのセットで2,000円弱)だが、ちゃんと座れる席が確保されてからスタッフに案内されるし、とても高いホスピタリティで満足度があった。

ショップ(いわゆる物販コーナー)もカフェと同様に外部の事業者に委託しているのか任天堂社員の人が派遣されてきて運営しているのか詳細は知らないが、入館証と連動して「1人N個まで購入可」がしっかり管理されているのが「良くできてるな~」と感心した。令和の時代に限定グッズは常に転売厨との戦いだからね……。
歴代ハードのTシャツなんかは、元セガファンという立ち位置で来ている僕にとっては「任天堂ハードなんかだっせーよな!」って感じであまり琴線に触れることは無かったんだけど、訪日外国人の皆さんには大受けで、すごい勢いで買い物かごに放り込まれていた。
商品もかなり補充が早くて、とにかく入館者を絞っているのとスタッフの数が多いことで、買い物する側にストレスが発生しないようになっている点に感心した。

ステッカーや文房具などはあまり惹かれず買わなかったが、歴代ハードのコントローラーがどれか1つランダムで封入されいてるキーホルダーグッズだけは気になって買ってしまった。開けるまで分からない、いわゆる「ガチャ要素」ありだが、入館証1つで最大2つ買えるため、3-4人グループで来館し1山を全買いしたらコンプできるようになっているんだろう。任天堂らしい配慮だと言えるし、ソロで行く人には不利な要素とも言える。
僕もゲーム遍歴で思い入れある世代のコントローラーが出るかなと気になり、キーホルダーコレクション1983-1999を2つとキーホルダーコレクション2000-2017を2つ、それぞれ買ってしまった。これだけで5,280円の会計になったので、入館料よりも支払ってしまっている。
訪日外国人の人らはTシャツだけでなく1万円超えの巨大クッションも当然のように買って行くため、思った以上にここの売上はすごいことになってそう。

元セガファン視点でのニンテンドーミュージアム体験レポートはこれで終わりです。 本音を言うとこういう施設はセガが最初にやって欲しかった けど、ここまでの情熱と狂気が宿ったものを見せつけられると完敗としか言いようがない。90年代-00年代「次世代ゲーム機戦争」の勝者は間違いなくソニーだったのだけど、このような施設を最初にやったのが、独自路線で娯楽とモノづくりに向き合い続けた任天堂だったのは、納得感があるなぁ。
いや、多分「セガミュージアム」だって「プレイステーションミュージアム」だって、やろうと思えば両社にはそれだけの資産と人的リソースはあるんと思うんですよね。でもセガはハード撤退した歴史と向き合わなきゃいけないし、ソニーはプレステシリーズ大成功の立役者である久夛良木氏を放逐した社内政治と向き合わなきゃいけなくなる。
ジャンプ編集部のライツ事業もTVアニメ『鬼滅の刃』シリーズの前と後で全く変わったのと同様に、任天堂のIP戦略も『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の前と後で強烈に変わりつつある令和最新の姿が、このニンテンドーミュージアムなんだと僕は思いました。
なんかねぇ、憑き物が落ちたじゃないけどさ、初めてセガは負けたんだなって事実を受け入れられた気がするよ。ドリキャスがPS2にボコボコにされた当時は受け入れられなかったけどさ、今日ここで初めて理解したよ。
言うてSwitch 2はメガドライブのゲームタイトルが遊べるから実質セガハードみたいなもんだけどさ(一生言ってる)。

最近のツッコミ
参号館
日記(ariyasacca)