仕事では夏休みを設定せず、カレンダー通りに進行していた訳だが、マンガ作品の積読を解消すべく読んでいたので感想を残しておきたい。相変わらず積読を消化するペースよりも新たにポチって積まれるペースの方が早いぞ。俺の電子書籍生活はもうだめだ。
半年ほど前に鳥山明氏が亡くなりショックを受けたこともあって、メジャーでなかった氏の作品もちょくちょく買って追いかけている。
この作品は氏の代表作である『Dr.スランプ』で培われたマンガの書き方テクニックを、低年齢の少年向けに面白おかしく解説した内容となっている。
後半では読者投稿作品について鳥山明氏が改善ポイントを指摘してくれるのだが、本当にちょっとしたコマ割りや背景の工夫でめちゃくちゃ面白くなりそうな批評をビシバシ加えてくれるのがすごい。平成を生きたマンガの神様からこんなアドバイス貰えるなんて、掲載された人にしてみればこの経験は宝物でしょう。
もちろん少年向けの解説書だから、投稿してくるのも当時の小学生中学生といった年齢層が中心で、拙い表現はあるのだけど、どんな作品でも改善点と一緒に「ここがいいぞ!」「ワシは好きだ!」と具体的に褒めるポイントも挙げてるのが、人間力が高いな~と感心した。
亡くなってから必要以上にぐう聖として持ち上げられる訳でなく、亀仙人みたくギャルが好きなスケベなところ隠しきれていないところもまた氏の魅力であり、尾田っちなどの後続作家にも受け継がれている気がする。健全なえっちを描いても上手いのがすごいよね。
TVアニメシリーズ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』に登場する、自律型AI搭載の多脚戦車「タチコマ」達が、集団で人間の様々な文化を「思考」する、有り体に言ってしまえば雑学マンガ。
最初の方では戦車をはじめとした兵器を思考していて、らしさがあったものの、段々とフリーダムになって何でもありであった。タチコマが集まってわちゃわちゃ議論しているとアニメで声を担当していた玉川砂記子さんのボイスで再生される。バトーさんや草薙素子少佐もちょこちょこ出てくる。少佐の声がもう聞けないのは悲しいな……。
ロリコンだが仕事ができて世間では無難な一般人に擬態している中年おじさん(天さんみたいな人だ)の部屋に、メスガキ地縛霊かげりちゃんが登場し、共同生活を始める家族コメディ。表紙とタイトルに騙されたというか、作風としては『小林さんちのメイドラゴン』などに近い。
かげりちゃん、生前に美味しいものをほとんど食べられなかったことから、おじさんが美味しいもの食べさせてあげると懐くのが可哀想かわいい。1巻の終盤から2巻にかけて、おじさん厄介ファンの姪っ子が登場してから、周りにやべー奴しか居ないから相対的におじさんがマトモに見えてくるのが非常に面白い。頑張れおじさん。
週刊少年ジャンプ本誌にて連載中、ちょうど連載1周年を迎え、「次にくるマンガ大賞2024」コミックス部門で1位になった、主人公の父親が作った「妖刀」を巡るダークファンタジー。
登場キャラ達のちょっとトボケた会話劇に加えて、ここぞというアクションシーンでの決めゴマが美しく、人気が出るのも頷ける。絵柄にはどことなく『NARUTO』の影響を感じさせ、さっぱりしているのに残虐描写も容赦なく入るギャップがかっこいい。打ち切りレースのある週刊連載という過酷な環境で半強制パワーレベリングしているためか、画力もどんどん上がっていて、とくに女の子が可愛い系・格好いい系ともに魅力が出て来ていてすごい。
とにかく海外人気がすごいらしく、世界観としても日本発のSFに勢いのあった『AKIRA』『攻殻機動隊』を思わせる、どことなくオリエンタルに発展した日本が舞台だし、メイン武器は刀(海外ではとにかく忍者か侍がウケるという偏見)だし、動画配信でも復讐系アニメ作品が大人気ということも考えると、早いうちにアニメ化の企画が動いてもおかしくない。
間もなく完結する『呪術廻戦』の次を担う看板作品としてジャンプ編集部もかなり期待しているのを感じる。2024年夏時点で刊行されているのは3巻まで、まだ余裕で追い付けるから読みましょう。
近くアニメ化されるらしいから買ったまま積んでた7巻までを一気に読みました。またかよ。
沖縄に転校してきた「てーるー」こと中村照秋くんが思いを寄せる喜屋武さん、沖縄の方言がキツ過ぎて分からないから日焼けギャル比嘉さんが通訳をしてくれるといった三角関係ダブルヒロインのご当地コメディ。祖父母世代から受け継いだキツすぎる方言がコメディ発生装置として機能する構図は名古屋が舞台だった『八十亀ちゃんかんさつにっき』とよく似ているが、かなりラブ度合いが高め。というか明らかに負けヒロイン化しそうな比嘉さんの方が人気あるんじゃないかこれ。
沖縄の車文化やお盆といった、本土とはかなり違った習慣が細かく解説されていて、各地をテーマに存在するご当地マンガ作品の中でも頭ひとつ抜けた面白さ。僕は比嘉さんに勝って欲しいです(負けそう)。
週刊少年ジャンプ本誌で連載中の、「あの日見たサターンに全年齢版移植された平成エロゲーの名前を僕達はまだ知らない」系バトル作品。好き過ぎて何回も読み返している。この夏にコミックス5巻6巻が発売された。
5巻では、主人公の学郎に突如生えてきた義理の妹である四衲(しとつ)との過去と、現代まで続く因縁が描かれつつも、表紙を飾った討伐隊第四支部の隊長である鶤狩兵一(いがりへいいち)さんが仮面ライダーよろしく無茶苦茶かっこいいバトルフォームを披露したと思ったら、学郎と四衲の親父さんの墓参りには深窓の令嬢よろしく登場して学郎を激励して去って行くという……。感情がぐちゃぐちゃになってしまう。どうやれば兵一隊長攻略ルートに入れるんだこのゲームは(存在しない原作の記憶)。
6巻は明確な「修行編」で、主に学郎&スー先輩ペアの様子が描かれていたのだけど、コミックスでは代葉&四衲ペアの様子も書きおろしで補完されていて満足度が高かった。
時々YouTubeのジャンプチャンネルでボイスコミックPVみたいなやつが制作されてるから、いずれアニメ化されることも期待していいんだろうか。
表紙がメスガキだと思ったが全然メスガキではなかった。魔女の頂点だった天才ナユの魔力が枯れてポンコツ化してしまい、過去にとった弟子であった小麦くんを頼って共同生活が始まるコメディ作品。
小麦くんのナユ先生に向ける感情が崇拝に近く、ほぼラブがコメらないけど癒される。ほのぼの。
何回か感想を書いたことのある、記憶を持ってやり直しする軍神令嬢ジルが、かつての敵国の竜帝陛下ハディス様の妃となって攻略して行くファンタジー作品。令嬢といっても別に悪役令嬢とかではない。が、ジル嬢は脳筋で戦術にも長けていて、料理が趣味のハディス様に餌付けされてしまうギャップがとても可愛い。
コミックス7巻でかなり綺麗に物語の区切りが付いて、2024年10月から始まるらしいアニメ版もこの辺りまでやって欲しいなぁと思っている。コミカライズ版の画力が高すぎて少年マンガ顔負けのスピード感あるバトルが展開され、アニメ版がガッカリだったらどうしようの心配がある。
アニメ化されると聞いて読みました。おじさん系作品は気になったら買って積んでいる。さすがに反省しないといけない。
「おじさん」と銘打つも30代くらいの人物を「おじさん」呼びされると「まだまだ若いじゃねーか」とつらい気持ちになる作品が多い中で、本作は52歳公務員のガチおじさんが乙女ゲームの悪役令嬢に転生するため、タイトルが嘘になっていない。
作者の上山道郎氏は、コロコロコミックで連載を持っていたキャリアだそうで、「悪役令嬢転生モノ」を色々読んでこの作品に取り掛かった裏話がコミックスのあちこちで解説されている。MetasequoiaやUnreal Engineで3Dモデルを造ってから背景や小物を作画している過程なども載っていて、とにかく子供向けにゾイド描いていた人がめちゃくちゃ研究した上で流行ジャンルに乗っかったのが、この『悪役令嬢転生おじさん』なのである。
類型に漏れず、おじさんが入った悪役令嬢グレイスはいい人になってしまって周囲のキャラから好感度がどんどん高まるのだけど、現代に居る奥さんと娘さん(共にオタク)が乙女ゲームの進行を観察していて、おじさんの攻略を助ける構図が新しくて面白い。おじさん可愛いよおじさん。
ヤングマガジン連載中、平成に巨乳グラビアアイドルをしていたすみれちゃん(31歳:引退済み)、従兄弟ゆうせいの口車に乗せられて、エロコスプレ同人グラビアでお金を稼ぐクズコメディ。すみれちゃんが兎に角ドクズで、放っておくとカップ麺と酒とパチンコばかりやるため、ゆうせいの支持が無いと何もできないという。しかし身体づくりなどストイックな面もあるのが憎めない。
作者の里見U氏は前作『八雲さんは餌づけがしたい。』から、年上お姉さんと少年の組み合わせが性癖らしく、今作『平成敗残兵すみれちゃん』でも、すみれちゃんとアイドルユニットを組んでいた敗残兵アイドルが続々と登場してくる。元アイドルの人生、いずれもめちゃくちゃ過酷で、すみれちゃんがクズになるのも仕方ない……いや、そうかな……そうかも……。クズのアラサー女の解像度が高すぎる。
表紙の目力に心を奪われてポチった作品。ちょっと予想を超えて残虐すぎた。残虐の度合いで言うと『ヴィンランド・サガ』くらい。
刊行済み3巻までは、虐げられた敗戦国の王女様たちによる決起モノといったプロットだったが、ここからまた展開が分かれそうなところで終わっている。毎巻、引きが強くて構成が上手い。あと画力がめちゃくちゃ高い。この画力であそこまで残虐描写があると好みが分かれそうであはる。
「次にくるマンガ大賞2024」で「Global特別賞」を受賞しており、ちょうどKindleストアでもポイント還元になっていたのでポチっと買ってみた。
「武士道とは死ぬことと見つけたり」の価値観に生きる剣豪・ギンコは、果たし合いの中で死ぬことができないまま、異世界に転生してしまう。とにかく主人公ギンコのキャラクター造形が魅力的で、頭のイカレた果たし合いジャンキーがファンタジー異世界に行くと、「なんで人間同士で斬り合いしたがってるの?」と気味悪がられるという、言われてみれば成程と思えるギャップが面白い。
いや~、サムライ、異世界人から見たら怖いだろうな。コミックスおまけでギンコの着替えなどが丁寧に補完されている。たまに羽織から除く腋がえっち。
少年ジャンプ+連載の1対1ラブコメ。太鼓職人で太眉なヒロイン杉崎響子さんがずっと可愛い。シュッとした職人としての恰好よさと、進太郎くんの前では乙女になっちゃうギャップがたまらん。
コマの視線誘導がストレスなくてもの凄く読み易い。こんな作品がどんどん出てくるジャンプ+はすごい。
半猫半JK(夜は黒猫で昼間はJK)みーちゃんが猫マニア男の部屋に転がり込んでくるラブコメ。
ギャルギャルしているJK状態のみーちゃんも可愛いが、黒猫になってる状態のみーちゃんが大変に可愛い。僕は犬派です。
自分に自信のない剣術道場のおっさん(言うほどおっさんか?)ベリル、かつての教え子たちは出世したり冒険者として名をあげたりしており、王都の騎士団付き特別指南役に就くよう請われることで、片田舎の剣聖だったベリルの実力が知れ渡って行く。中年になるとこういう「自信が無いおじさんが実は本気出すとすごい」作品に弱い。
とにかくびっくりすぐほど剣戟の対決シーンが上手くて、原作付き作品のコミカライズを担当しなくても連載が持てるレベルなんじゃないかと思ってしまうほど。ジャンプ作家陣で言うところの小畑健氏みたく、原作が別であった方がいいタイプなんだろうか。達人同士の1対1に加え、1対多や多対多のシーンでも、それぞれのキャラが何を考えて戦っているかの思考の動きが異常に巧い。
このコミカライズはいい感じに力の抜けた朴訥とした中年おじさんとしてベリルが描かれていて魅力的なのだけど、アニメ版のティザーPVでは一回り若返って精悍な顔つきになっている気がする。こんなの俺たち中年が見たい、くたびれたおじさんじゃないよ……。
最新6巻ではベリルに匹敵する剣の使い手シュプールとも決着が付いた。敵キャラも弟子たちも皆それぞれ魅力があって素晴らしい作品。ポイント還元やってるみたいだから買ってください。おすすめ。
どハマリしている残念美人OL『のあ先輩はともだち。』を描いてるあきやまえんま氏の短編集。
激重感情の百合をあっさりタッチで描いていて素晴らしい。この人、『のあ先輩』でもそうだけど、アイドルや社会人の闇をしれっと匂わせるのが上手いよね。
かつて月刊アフタヌーンで連載中にリアルタイムで読んでいたSF(すこしふしぎ)作品。Kindle版の発売レーベルが違うのは権利を移したみたいな裏事情があるのかな? あまりに懐かしく、かつ全巻99円と人類史に遺るレベルの傑作がおかしな値段で売られていたからポチって再読した。
地球侵略に来た宇宙人に「愛」が存在することを証明すべく、主人公は80年代の並行世界に飛ばされ、クラスメイト達との友情を確認して行く。表紙の直行くんはキョーケンと「タイマンはたらダチ!」の殴り合いで歯が欠けてる世界線であることを示しているのが細かくて好き。
Kindle Unlimitedで全5巻読めるみたいなので未読の人は是非とも読みましょう。
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