マニアックなバンドを日本に呼んでくれる事に定評のあるプロモーターEvoken de Valhall Production主催の辺境メタルフェス「Pagan Metal Horde」vol.3の大阪公演を、有給休暇を取って大阪に遠征して見てきた。長期休暇中に見に行ったvol.2から、わずか3ヶ月でvol.3ですよ。いいぞもっとやれ。
余談だけども、名古屋から大阪遠征するのに大変役立っていた格安なチケットである近鉄の「名阪まる得きっぷ」が2018年3月で廃止となっていた事を今さら知った。名阪特急なんて正規料金じゃ誰も乗らないっしょ……。余力を集めて近畿日本鉄道の株主となって優待券で格安移動できる地位を目指すか……。
チケット料金は前売り8,000円 + 当日のドリンク代として500円。3日券の通し券もあって20,000円なので、東京2日間と大阪を全通する人には優しい値段設定。
大阪公演で会場となっていた心斎橋somaは、ドリンク代に+100円を払うと、ボトルビールのキリンハートランドと交換できるシステムになっていた。ライブ前にハートランド飲めるなんて最高かよ。半地下の縦方向に長いライブハウスで、緞帳もスタッフが手動で開閉する古めかしいハコであった。満員で250~300人くらいは入れそうかな? 客入りは9割は埋まっていて、当日券もそこそこ出てたみたい。
1組目は日本のバンドで、戦国メタル? という、完全に出オチ感のある落ち武者っぽいコスチュームで登場したバンドだった。芝居がかったMCはウケていたようだった。ボーカルが初期Galneryusっぽいハイトーンタイプ。出番は20分ほどで終了。
2組目はベルギーのフォークメタルバンドIthilienで、これは完全にノーマークだったが素晴らしかった。このジャンルを代表するバンドであるスイスのEluveitieを想起させる、キレの良い吐き捨てボーカルと、バイオリンや、低音を支えるハーディガーディのアンサンブルが心地良い。
家に帰って自分のiTunesライブラリを確認したら、「From Ashes To The Frozen Land」っていうアルバムだけは過去に買ってたようだ。物販ブースで買わなくて良かった。
とにかく演奏も素晴らしかったし、客席の反応も良かったので、また機会があったら見てみたいと思った。持ち時間もこの日の40分くらいでなく、1時間くらい見てみたいね。
3組目はハンガリーのフォークメタルバンドDalriadaで、こっちはIthilienと違って本当に全く知らないバンドであった。
スタイルとしては男女のダブルボーカルを採用していて、ずっとクリーンボーカルだった女性側の人が最後の曲で突然グロウルになったのは驚いた。このバンドも持ち時間は40分くらい。
4組目は日本の大型メタルフェスLOUD PARKにも出演経験のあるチュニジアのMyrathが登場。客席の盛り上がりは、このMyrathが1番だったように思われる。
音像も一気にメジャー感のあるステージになり、まるで映画音楽のような豪華サウンドが展開された。
バンドの肝やキーボード奏者であるケヴィン・コッファートで、この長身の人がニコニコしながら次々と空間的な広がりを感じさせるスペーシーな演奏で上手くフロアを支配していた。
露出度の高い民族衣装を着たダンサーの姉ちゃんも時々ステージに登場して盛り上げていた。彼女が登場した時だけ客席のおっさん達が一斉に撮影を始めてコスプレ撮影会のような状況になり、やや鬱陶しかった。
ボーカルのザヘル・ゾルガティは、特別に巧いとは感じなかったが、とにかくステージングが一級品で、ライブハウス全体を一体感あるようまとめ上げていて、さすがに大型フェスも経験しているだけあるな~と思った。キャリア的にはトリ扱いでもおかしくないのに、次に登場するOrphaned Landを気遣ったMCもこなしていて、イケメンですねぇ。
今回の大トリを飾るのは、イスラエルのプログレッシブメタルバンドOrphaned Landで、来日としては2回目となる。僕は前回の来日でも見ているが、今回はMyrathのステージ終了後にかなりのお客さんが掃けて後ろへ行ったので、前方3列目に陣取ることができた。これは嬉しかった。
セットリストでは、もちろん最新作であるアルバム「Unsung Prophets & Dead Messiahs」も大いにフィーチャーされていたのもの、日本におけるこのバンドの知名度を一気に高めた名盤「Mabool」からもかなりの曲数が演奏されたのは意外だった。もう14年も前の作品なのにビックリである。ギターが片方のセッティングミスなのか、音量が低かった点は残念だったな。
ボーカルのKobi Farhiは、前回の来日時と比べてチョットお腹が出たような気がするけど、圧倒的なカリスマ性は健在で、すごく優男なMCをするのにド安定な声量と伸びのあるクリーンボイス & 短く吐き捨てるグロウルを自在に使い分けて、このバンド独特のオリエンタルな雰囲気を完全に作り上げてるね。
圧巻はドラムのMatan Shmuelyで、複雑な展開を持つリズムを完全に叩きながら、ボーカルのコビからマイクを向けられたら、叩きながらグロウルを披露してるので、もう化け物ドラマーですよ。スラッシュやブルデスのような圧倒的な手数足数ではないものの、これだけ複雑な曲展開を息も上げずに演奏し切って、カーテンコール後も、ステージに手を伸ばしてる客のほとんどと握手して帰るという。圧倒的過ぎる。
17:30に始まった今回のPagan Metal Hordeも、Orphaned Landのアンコールが終わった時には23:00前という長丁場でした。いや~、これだけ普段なかなか生では見られないバンドが集まってチケット8,000円だと、遠征してでも見に来て良かったという感想しか無いですね。呼び屋さん本当にありがとう。
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