漫画業界を扱った作品の中でも設定がぶっ飛んでいるというか、タブーに切り込んでいて面白かった『ミリオンジョー』が全3巻で完結しました。
最新巻の初版部数が500万部を超えるなど、数々の記録を更新し続け、多くの人々に勇気・希望・興奮を与える少年漫画の金字塔『ミリオンジョー』。その作者・真加田恒夫が連載中に急死した――! 担当編集者の呉井は続きを楽しみに待つ読者のため、真加田の死を隠蔽し、自らが続きを描くことを決意する……!
漫画に限らず小説でも何でも、創作作品で長期連載が続けば続くほど「作者が死んでしまい未完」というリスクが増えることを意味します。この作品は、もちろん架空の編集者と架空の作品を使った設定の物語ではありますが、現実世界で言えば『ONE PIECE』みたいなモンスター級のメガヒット作品に突然不幸が起きたようなところから始まります。
担当編集者、チーフアシスタントなどなどが集まって、天才肌ゆえほとんど人前には出て来なかった作者・真加田恒夫の死を隠し続けながら、遺された創作ノートを元にネームを切って完結を目指す、だけど、どうしても細かい差異が生まれてしまい、少しずつ編集長チェックや読者アンケートの結果に現れ始める……という流れです。
終盤に鳥山明をモデルにしたような少年漫画界の伝説的な人物のところへ主人公が行って、「もし先生が連載の途中で死んでしまって、その作品を周りが完結させようとしたらどう思いますか?」と質問するのですが、その回答が非常にそれっぽくて、本作のハイライトです。終わり方もまた、「未完の大作を第三者が完結させようとする行為は果たして善なのか悪なのか?」と問い掛けるようで余韻が残ります。スピード感があって面白かった。
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