地上12メートルの松の枝に首吊り死体が!遺されていたのは「ηなのに夢のよう」と書かれたメッセージ。不可思議な場所での「η」の首吊り自殺が相次ぐなか、西之園萌絵は、両親を失った10年まえの飛行機事故の原因を知らされる。「φ」「θ」「τ」「ε」「λ」と続いてきた一連の事件と天才・真賀田四季との関連は証明されるのか?Gシリーズの転換点、森ミステリィ最高潮。
もはやGシリーズで新登場したキャラクタ達は完全に脇役へと追いやられ、名著『すべてがFになる』では語られなかった事実が明らかになる。Vシリーズからも多くの人物が登場し、熱心に読んで来た読者にとっては、大きなカタルシスを味わうことが出来る。
ミステリとしては「死にたがり」が勝手に死んで行っただけのような感じで余り印象に残らないのだけど、西之園萌絵が乗り越える家族との死別や、最後に訪れるもう一つの死別で彼女の成長と解放が爽やかに描かれている作品だった。
面白いんだけど、若い人達の前で昔話をして盛り上がっている老害になってしまったような、複雑な気持ちになるシリーズである。
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参号館 日記(ariyasacca)