森林の中に佇立する《伽羅離館》。超能力者神居静哉の別荘であるこの洋館を、7名の人物が訪れた。雷鳴、閉ざされた扉、つながらない電話、晩餐の後に起きる密室殺人。被害者が殺される直前に聴いていたラジオドラマは『τになるまで待って』。ミステリーに森ミステリィが挑む、絶好調Gシリーズ第3弾!!
加部谷恵美、山吹早月、海月及介のGシリーズ3名がアルバイトで訪れた洋館で、館の主で自称超能力者があっさりと密室で殺されてしまう。閉ざされてしまった館の中で、仮説を披露しながら、ああでもないこうでもないと議論をするのだけど、西澤保彦のタックシリーズを思い出してしまった。
種明かしされると「あぁ、そうなの」という感じの物理トリックなのだけど、海月君のポジションが、「犀川先生には及ばないけど頭は良い」あたりに定まりつつあり、とても不憫である。
S&MシリーズやVシリーズを通読している人ならば楽しめるけど、他人に薦められるかと言われると…。ラジオドラマほとんど事件に関係無いよね…。
山吹早月と加部谷恵美が乗車していた東京発中部国際空港行きの高速バスがジャックされた。犯人グループは、都市部に爆弾を仕掛けたという声明を出していた。乗客名簿には<イプシロンに誓って>という名前の謎の団体客が。<ファイは壊れたね>から続く不可思議な事件の連鎖を解く鍵を西之園萌絵らは見出すことができるのか?最高潮Gシリーズ第4弾!
バスジャックされたんだけど乗客へは危害を加えず、携帯電話による外部との連絡も自由、と云う舞台設定が面白い。巻き込まれた主人公達の戸惑いや、次々と切り替わる乗客たちのある種の諦観から、集団自殺グループの存在が明らかになって行く。
鋭い人は「あれ」と思って気付いてしまうトリックではあるのだけど、スピード感があって楽しめる一冊。集団自殺グループ各人の心理描写から、多彩な死生観を読める点も面白かった。
Gシリーズでは、今のところ一番好みだし、この作品だけ見ても十分にミステリとしては成立しているように思う。
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参号館 日記(ariyasacca)