未知なるヒーロー誕生。乱歩賞受賞作
連続爆弾犯のアジトで見つかった、心を持たない男・鈴木一郎。 逮捕後、新たな爆弾の在処(ありか)を警察に告げた、この男は共犯者なのか。 男の精神鑑定を担当する医師・鷲谷真梨子は、彼の本性を探ろうとするが……。 そして、男が入院する病院に爆弾が仕掛けられた。 全選考委員が絶賛した超絶の江戸川乱歩賞受賞作。
本格でもサスペンスでもホラーでもなく、悲哀に満ちたヒーローの物語というところが、本作の最大の魅力。
脳医学や心理学の観点から精神疾患や自閉症を抱えた者が時として非凡な才能を発揮することを丁寧に解説する中盤までの話は、全て終盤の怒涛の展開のためにあったと言っても良い。パラサイトのミギーしかり、魔人探偵のネウロしかり、冷静沈着で感情を表に出さない人間の隣人が活躍する話として読んだ。
ヒーローの補佐でありライバルでもある茶屋警部が、どうやっても名探偵コナンの目暮警部で頭の中で描写されてしまった。
物語の軸となる3人の人物を使って、シリーズとして各キャラクタの背景を掘り下げて欲しいと思うほど、読み終わるのが勿体無い作品。少年マンガが好きな人には本当におすすめ。
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参号館 日記(ariyasacca)