「陰陽師の末裔」弓削家の当主、清隆が密室で変死体となって発見された。事件は自殺として処理されたが、三十年を経て、孫の弓削和哉は「目に見えない式神による殺人」説を主張する。彼の相談を受けた桑原崇は事件を解決に導くと同時に「安倍晴明伝説」の真相と式神の意外な正体を解き明かす。好調第5弾。
講談社の企画「密室本」作品ということで、密室をテーマにしたコンパクトな本。
弓削清隆が密室で殺されていた事件の方も、最後に「どのような理由で、いかにして密室が完成したのか」がきちんと提示されて楽しめるのだけど、もっと面白いのは作中の終盤で語られる安倍晴明が使役する「式神」の正体。
当時の京の背景から鬼ごっこを経て、読者が「式神が鬼ってそういうことか!」と思わず膝を打ちたくなる解説が提示される。
ページ数も短くまとまっているし、登場人物は酒を飲みながら談義しているだけ、読んでいて全く負担にならないのでシリーズ一作目として本作を読むのもおすすめ。
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