タイトルの通りなんだけど、2021年1月後半にAmazonのプライムビデオでアニメ作品『狼と香辛料』の1期と2期が見放題作品として追加されていて、「なんか昔によく名前を聞いた作品だなー」と思い、視聴し始めた。
世界名作劇場のようなハートフル物語を想像していたが、中世ヨーロッパ風の世界を舞台にした商取引や金融をテーマにした、なかなか個性的な話であった。『賢狼』と呼ばれる狼少女と幾つかの人語を理解する獣を除けば、あまり素っ頓狂なファンタジー要素は無くてかなり現実的な経済を描いているように思う。金銭的価値に対する人の欲望も頷ける描写が多い。何より賢狼ホロが可愛い。オオカミってやっぱり近縁種だからか、仕草に犬っぽさがあるんだよね。
で、アニメは2期で中途半端なところで終わっていて、どうも3期の制作予定は無いらしいのだった。消化不良な気持ちでもやもやしていたところで、Kindleストアでちょうどコミック『狼と香辛料』も全巻が半額セールとなっており、まんまとポチって買ったのだった。
コミック版は1巻を読み始めた当初はキャラクターデザインに多少の違和感を持ったものの、アニメ2期とは明確に違った物語展開に分岐する8巻の頃には、すっかりコミック版のキャラクターに魅了され、最後の16巻まで完読したのだった。コミック版の方が原作ライトノベルに忠実なようなので、となるとアニメ版はやはり3期を作ろうにもオリジナル展開が多々入ってしまっているから難しいのかも知れない。
行商人ロレンスと賢狼ホロの関係性がすごく良い作品でした。最後の「たわけ!」に愛があって最高。
コミカライズを担当した小梅けいと氏って「どこかで名前を聞いたな」と思いながら読んでて、途中で思い至ったのは、機動戦士ガンダムシリーズの監督である富野由悠季氏との鼎談記事で名前を見たんだよね。
『戦争は女の顔をしていない』では時代考証を『大砲とスタンプ』の速水螺旋人氏に頼っているとあるのだけど、『狼と香辛料』の中世ヨーロッパ考証もかなり細かくて、ロレンスが髭剃りする時の小道具だったり、酒を飲むときの食器だったり(※ロレンスとホロは新しい街を訪ねる度に酒場へ繰り出しており、そこも本作の大きな魅力)、教会や宿屋の建築様式だったり、かなり読み応えがあった。
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