「弟を殺そう」―身長195cm、体重105kgという異形な巨体を持つ小学生の雷太。その暴力に脅える長兄の利一と次兄の祐太は、弟の殺害を計画した。だが圧倒的な体力差に為すすべもない二人は、父親までも蹂躙されるにいたり、村のはずれに棲むある男たちに依頼することにした。グロテスクな容貌を持つ彼らは何者なのか?そして待ち受ける凄絶な運命とは…。第15回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した衝撃の問題作。
日本ホラー小説大賞長編賞を受賞とあるが、分量的には中編くらいの印象で、一気に読ませる作品。妖怪が跋扈する独特の世界観で、妖怪といっても京極夏彦のような作風というよりは江戸川乱歩が近い。いわゆる怪奇小説と云える。
とにかくエロ・グロ・バイオレンスのオンパレードで、これだけ陰惨な内容にも関わらずどこかシュールで笑えてしまうのは、登場する河童のモモ太・ジッ太・ズッ太の絶妙なキャラクター性にも拠ろう。大量のキンタマ袋の集合体のような風貌のキチタロウといい、とにかく妖怪たちのキャラクター性が強烈なインパクトを放つ。
圧巻は幻覚剤『髑髏」を打たれた登場人物が見る拷問シーンで、まさしくエロ・グロ・バイオレンスのエンターテインメント極致という感じ。ジェットコースターのように読み終わってしまう一冊。面白かった。
Amazonの購入履歴を見たら、2014年に買ったままKindleで積んでいた……。もっと早く読めばよかった。
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