仲間の死を回避するため、ようやくシュタインズ・ゲート世界線に辿り着いた岡部倫太郎。だが、いくつもの世界線を超えた岡部の脳には多大な“負荷”がかかり始めていて!? 完全新作の劇場版にノベライズが登場!!
原作ゲーム版はクリア済み、TVアニメ版および劇場版は未聴という状態で読んだのだけど、大変面白かった。上下巻とも一気に読んでしまった。
ゲーム本編のトゥルーエンド後を描いた作品ではあるが、ストーリーもよく練られている上に、完璧だった本編で「既に確定している過去」を変えずに、新しいエピソードとして作られている点は素晴らしい。
異能よりもむしろ疾患として語られる「リーディング・シュタイナー」、ようやく辿り着いた理想のシュタインズ・ゲート世界線を維持するためなら何も惜しくないと考えるオカリンの葛藤、別の世界線での自分に嫉妬すると紅莉栖などなど、とても丁寧に描写されている。特に、多世界解釈を基本とする本編においても度々言及されていた、記憶と既視感や未視感の関係性が深く掘り下げられるところも良かった。
アニメ作品を見ていないので、たまに挿入される(劇場版のセル絵だと思われる)挿絵のタッチには若干の違和感があったといえばあったのだけど、ゲーム本編をクリアした直後のテンションで読んでも十分に楽しめる作品である。おすすめ。
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