密室状態の研究所で発見された身元不明の4人の銃殺体。それぞれのポケットには「λに歯がない」と記されたカード。そして死体には…歯がなかった。4人の被害者の関係、「φ」からはじまる一連の事件との関連、犯人の脱出経路―すべて不明。事件を推理する西之園萌絵は、自ら封印していた過去と対峙することになる。ますます快調Gシリーズ第5弾。
完全密室の中で銃殺されて、しかも全員の歯が抜かれている…と、やたら猟奇的な舞台設定で、わくわくして読み始めたのだけど、終わってみれば、萌絵ちゃんが犀川先生とちゅっちゅしながら、幼少時の辛い両親との死別を乗り越える話なのだった。「そういえば建築学科の学生が主要登場人物のシリーズだったなぁ」と合点する感じのトリックではあった。
もともとGシリーズが全体的にそうではあるのだけど、今作は特に、別シリーズ作品を幾つか通読していないと分からない人物関係のオンパレードだった。単純にファンサービスとして捉えれば、もちろん僕は作者のファンなので嬉しいのだけど、もはや単体では作品として成立していない点がどうなのかと思った。
タイトルが『入れ歯がない』に見えてしょうがないなぁと思ったら、作中でも登場人物が同じように見間違えると話していて戦慄した。
最近のツッコミ
参号館 日記(ariyasacca)