痛ましい事件である。
ご遺族の皆さんは、事件の報に衝撃を受けた後も次々と出て来る「殺さないでください」と懇願したのを無視し、ハンマーのような凶器で頭をめった打ちにしたとか夜中に市内を車で走り回り、金を奪うために襲う女性を物色していたといった情報を、嫌でも知ることになるのだろう。
極めつけはなごやんの食道楽記だ。亡くなった女性のブログが今も存在している。
ウェブ上の日記が身近になったお陰で、他人の知見に触れる楽しさや、人々の日常の面白さを身近に知ることが出来るようになった。同時に人が死んだことについても、「交通事故で誰が死んだ」「テロで何人亡くなった」といった一行情報とは比べようもないほどの圧倒的なリアリティを持つようになった。
随分前から、自分の身の回りの人間が惨殺でもされたらカッとなって私刑に走るか真っ白な廃人になりそうと思っていた。
今回の拉致殺害の報道を見るにつけ、もし自分が遺族という立場になったとしたら、復讐を企てるほどの憤りよりも「信じられないし、何も考えたくない」といった虚無感の方が勝るのではないかと感じている。何より、更新されなくなった日記の喪失感。これが自分の近しい人のものだったら、ただただ何度も読み返しては途方に暮れる日々が続くのではないか。
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