『攻殻S.A.C.』シリーズの映画? オリジナルビデオアニメ? だと思われる。
草薙少佐が居なくなり、出世したトグサくん率いる公安9課チームとハッカー「傀儡廻」の対決が描かれる。
冒頭のトグサ突入シーンは、いかにも『攻殻S.A.C.』シリーズという感じで、ちゃんと視界クリアを確保しながら進んで行くスピード感がいい。
事件黒幕のハッカー「傀儡廻」が持つ思想と、現代日本の超高齢化社会についての課題提起は、ちょっと社会的に過ぎるかなぁとも感じてしまった。やっぱり9課のリーダーは少佐じゃないとね~。
映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の直接の続編となる作品らしい。攻殻機動隊の映像作品には監督を押井守氏が務めたものと、神山健治氏が務めたものとがあり、本作『イノセンス』は押井監督のシリーズという位置づけになるようだ。
神山監督の『攻殻S.A.C.』シリーズを集中的に視聴したからか、バトーの表情や荒巻部長(課長じゃないんだ)の声が違う点に少々違和感を覚えてしまった。9課メンバーもバトー・トグサ・イシカワくらいしか登場しないし……。攻殻ってこんな感じだったっけ。台詞回しは抽象的かつ引用が多く、何だか森博嗣氏の小説を読んでいるような気分だ。
前作映画でハッカー「人形使い」を追ってネットの海に行ってしまった草薙少佐が居なくなった公安9課という設定で、大量の人形を相手に大立ち回りするプロットというのは何とも皮肉な話ではある。本作の主人公はバトーになってるらしく、ゴーストと人形の狭間で揺れる彼の曖昧な立ち位置も印象に残った。この世界線のバトーさんには、草薙少佐への未練はすっぱり断って、愛犬と末永く暮らして欲しいものである。
作品名は普通に『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2』で良いと思うのだけど何故『イノセンス』なんだろうと不思議に思ったが、どうもジブリの鈴木敏夫氏が提案して『イノセンス』となった経緯があるんだそうな。糸井重里氏のキャッチコピー「イノセンス それは、いのち。」 もイマイチだし、なんかこの人たち持ち上げられ過ぎだと思うんだよね……。
映像作品とはぜんぜん関係ない感想を書いてしまった。映像としてはハッカー「キム」のところに踏み込んだトグサとバトーのコンビがループする場面のところが、不快なBGMも手伝って、ジョジョでポルナレフが初めてDIOのスタンドを体感した時のような奇妙さがあって良かった。
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