ariyasacca

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2019-10-20 (日) [長年日記]

[雑記]Kindle Paperwhiteで『鹿の王』合本版を一気読みした

6年前に同じ作者の作品『獣の奏者』をあまりに面白くて一気読みしていて、今回も『鹿の王』全4冊の合本版をKindle Paperwhiteを持ち歩きながら、あまりに面白くて一気に完読してしまった。

Kindle Paperwhiteで作品を開くと「この作品を読み終えるのに必要な時間はおよそ18時間」みたいに表示されて、実際に自分の読書時間を計測している訳ではないから18時間読んでいたのか不明ではあるけど、夢中になって読んだのは確か。ゲームで18時間はなかなか捻出できないのに不思議だね~。

『鹿の王』感想

強大な帝国・東乎瑠から故郷を守るため、死兵の役目を引き受けた戦士団“独角”。妻と子を病で失い絶望の底にあったヴァンはその頭として戦うが、奴隷に落とされ岩塩鉱に囚われていた。ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生。生き延びたヴァンは、同じく病から逃れた幼子にユナと名前を付けて育てることにする。一方、謎の病で全滅した岩塩鉱を訪れた若き天才医術師ホッサルは、遺体の状況から、二百五十年前に自らの故国を滅ぼした伝説の疫病“黒狼熱”であることに気づく。征服民には致命的なのに、先住民であるアカファの民は罹らぬ、この謎の病は、神が侵略者に下した天罰だという噂が流れ始める。古き疫病は、何故蘇ったのか―。治療法が見つからぬ中、ホッサルは黒狼熱に罹りながらも生き残った囚人がいると知り…!?

たったふたりだけ生き残った父子と、命を救うために奔走する医師。生命をめぐる壮大な冒険が、いまはじまる―!

  • 帝国への反逆集団を率いて敗れ奴隷になったヴァンと、医療知識に長けて帝国とうまく協調して生きる先住民アカファの医療者ホッサル。
    • ヴァンとホッサルの視点が交互に切り替わりながら、きわめて致死率の高い疫病「黒狼熱」が250年の時を超えて流行し始めた謎に迫って行く。
    • この視点の切り替わりが絶妙なタイミングで、まるで良くできたザッピング手法を採用したアドベンチャーゲームや映画のようである。
    • バラバラに動いていた2人が物語後半になり一度だけ邂逅するシーンでは、読者のテンションも最高潮になる。
  • 疫病「黒狼熱」の他にも、現実世界には存在しないオリジナルの生き物として「飛鹿」「火馬」が設定されており、鹿やトナカイ、羊といった、僕らのよく知る生き物と共に牧畜されている様子から、読者は架空の生き物たちの生態を相対的に実感できる。
    • 『獣の奏者』でも架空の生き物にしっかりした設定がなされていたが、今作でもその濃密な設定は健在。
    • とくに、キーとなる生き物「飛鹿」について、発情期や出産、人間に懐き使役される描写が丁寧に表現され、作者の創造力には舌を巻く。飛鹿めちゃ可愛い。
  • 専門家に監修された上での異世界における医療体系や、作者の深い取材と知識によって描かれる遊牧民族たちが過ごす季節の巡りなど、まるでその世界がそこに在るように体験できる。

一級品のファンタジーであると同時に、架空世界で医療サスペンスをやってみせたようなスリラー的な面白さもあって、本当に夢中で読める物語です。

作者である上橋菜穂子さんは、あとがきで、本作は執筆に何年もかかった産みの苦しみも吐露しており、こんな超大作を読ませてもらって感謝しかない。架空の世界を設定するだけでなく、歴史や生き物に壮大な深みを与える創作というのは、想像を絶する作業だろうなと思う。

多分とんでもないページ数だった筈ですが、Kindle版はどこでも持ち歩いて読めてマジでおすすめ。

鹿の王【全4冊 合本版】 (角川文庫)(上橋 菜穂子)


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