ライブ遠征で東京までやって来て、開演時間まで恵比寿エリアで暇を持て余していたところ、ゆるキャラ写真家のmono氏からコンタクトがあり、何年振りかに再開した。リュックを背負って移動するようになっており、完全にカメラマンとなっている印象だった。
恵比寿に土地勘も無いため、駅近くの猿田彦珈琲でアイスコーヒーを飲みながらぐだぐだ喋っていた。
上記のような話を楽しくしつつ、また年末に会いましょうという感じで別れた。僕はこのところアメリカに移住した元上司の影響で、オフで会った人に対して強引に握手を求めているのだが、この日も微妙な空気を醸しながら握手をしたのだった。
昨年に続き、2018年も開催されたEvoken Festに行ってきた。前回2017は大阪公演を見てきたのだが、今回2018は出演バンドの関係で、どうしても見たいバンドが東京公演1日目に集中しており、遠征費が高くなることを覚悟の上ではるばる見に来たのだった。
引用したタイムテーブルで分かる通り、3日間のうち全てで出演バンドが異なっており、僕の場合は初来日となったVhäldemarがどうしても見たかったが大阪公演には出演せず、東京遠征を余儀なくされたのだった。まぁ名古屋飛ばしに慣れている我々としては選択肢があるからマシな方で、大阪エリア在住の人は可哀想だったな……。
フェス東京公演は1日目が恵比寿で2日目が新宿と異なるハコになっていて、僕が行ったのは恵比寿LIQUIDROOMという、恵比寿エリアと渋谷エリアの間辺りになるライブハウスであった。FINLAND FEST 2012以来だから、6年振りか~。
駅からもそこそこ近い上に、フロアは全面禁煙と、かなり快適なハコであった。生ビールがカールスバーグな点もポイント高し。埋まり具合もまずまずで、800人以上は入っているように見えた。やはり東京はメタラーが多いねぇ。
オープニングアクトは日本のRakshasaというバンドで、陰陽座っぽい「よくある嬢メタル」な印象であった。
MCではプロモーターの人から「Derdianを『中止になった某フェス』(LOUD PARKのこと)のAmato枠みたいに毎年出演して欲しい」といった意気込みが語られ、客席フロアが盛り上がっていた。
4曲ほどで持ち時間は終了。
2番目に登場したのはCryonic Templeというスウェーデン出身のメロパワバンド。
完全に初見で、全く予習してこなかったのだが、これが結構良かった。明るいオーセンティックなメタルと思わせておいて、最後はコテコテのメロスピ疾走曲で締めたり、途中でボーカルがギタリストとスイッチしてもこれまた達者だったり、面白いバンドだった。今度CDを買ってみようと思った。
続いては、90年代~00年代に日本のメロスピシーンを(ごく一部で)沸かせたスウェーデンのDragonlandが登場した。ギタリストの1人オロフは、サイドプロジェクトだったAmarantheが世界的にヒットしてしまったせいか、今回のフェスには居なかった。
セットリストとしては、かなり日本のリスナーに配慮してあった印象で、日本盤も発売された2ndや3rdから選曲されており、最後はX JAPANのカヴァーRusty Nailで締めたのだった。彼らのオリジナル曲よりも、最後のXが1番盛り上がってしまうのは、何か悲しい。
続いてはスペインのメロパワバンドVhäldemarが登場した。
どうしても生で見たかったバンドで、音楽性としては、初期Helloweenのようにダミ声のボーカルが勢いで押して行くタイプのパワーメタルである。
Vhäldemarのパフォーマンスはとにかく素晴らしくて、ボーカルは最初サングラスをかけて登場したせいか、現代のロブ・ハルフォードのようで、Helloweenのカイ・ハンセンやマイケル・キスクが近年ロブっぽく振る舞おうとしている以上に巧くなり切ってる印象で、終盤は客席フロアに飛び込んで柵の上で歌い続けるパフォーマンスを披露し、大盛り上がりだった。ライブハウスのスタッフは客よりもバンドメンバーに警戒する羽目となり、困惑していたが。
あとギタリストの超絶テクっぷりも凄くて、最新作からVulcano~Howling At The Moonへ叙情的なギターフレーズから疾走に雪崩込んで行くところは大盛り上がりだった。インストパートにおけるギターとキーボードの掛け合いも秀逸。このバンドはミドルテンポでも盛り上がるので、疾走ビートはより一層映えるのが良いな~。この日1番観客の心を掴んだと言っても過言でないと思う。もっと長い時間見たくなってしまった。
続いてはスウェーデンのミリタリー・メタルバンドCivil Warが登場した。名前の通り、南北戦争をはじめとする、アメリカ大陸の戦争史をテーマとした曲を発表しているバンドで、ミリタリー色の強いコスチュームで登場した。メンバーは同郷のSabatonというバンドに在籍していたメンバーが始めたバンドという点も納得の音楽性である。
このバンドもフェス出演で初めて知ったバンドで、事前予習としてはアメリカ西部劇時代をテーマとしたTombstoneのオフィシャルPVを見た程度だったのだけど、かなり良かった。
欧州ではこの系統は非常に人気があるため、Civil Warも結構な人気バンドなのかも知れない。
2017に引き続きの出演となった、イタリアのクサメタルバンドのDerdian、新作『DNA』がなかなかの力作で、今回のセットリストも新作からの曲が多めだった。
とにかく日本での人気が凄くて、この日で唯一のバンド名が連呼される「Derdianコール」が何度も起きているほど。
バンドのパフォーマンスも、ツインギターのチューニングはズレてるんじゃないかと怪しかったものの、ドラムとヴォーカルの安定感で、全体としては良かった。最後は新作収録のNever Bornという曲を日本語バージョンで披露。また来年も出演して、定番バンドになってくれたら嬉しいね。
準トリは、ドイツのメロパワバンドOrden Oganで、今回のツアーが初来日のはず。厚いクワイアを誇るBlind Guardianタイプの音楽性で、僕もアルバム何枚か購入しており、生演奏を見られる機会を楽しみにしていた。
今回のツアーでは、ボーカル兼ギタリストが手首を怪我して(?)、ボーカルに専任しているとかで、ベーシストがギターを担当し、ベース無しの特殊な編成。
ボーカルの人は、それまでCD音源から聴き込んで抱いていた勝手な印象で、細見の人が絶唱に近い感じで歌うと思いきや、ふくよかな人だったのである意味ビックリした。ビール大国ドイツらしいと云えばドイツらしいが。CDのように分厚いクワイアを同期音源で流したりしていたものの、生歌ではボーカルが1~2本になると、なんだか朴訥なヴァイキングメタルを聴いている気分になってしまった。
楽曲の良さは十分に伝わったので、次があるなら、もう少しセットリストにメリハリがあると良いかも知れない。全部同じ展開に聴こえてしまうので。
フェス大トリを務めたのは、スウェーデンのベテランであるメロディックメタルバンドNocturnal Ritesで、10年振りの新作を引っ提げての堂々登場である。最新作がやや地味な内容で、「新作ばっかりのセットリストだったらどうしよう」と心配していたが、安心のベストアルバム的なセットリストであった。また、このセットリストに3曲ほど混ざり込んでいると、新作の曲もかっこいいなと思えるから不思議である。
やはり最大の魅力であるジョニーの北欧的な哀愁を伴った歌唱力は健在で、Avalonの客席フロア大合唱からStill Aliveに繋がる流れなどは、本当に東京まで見に来た甲斐があったと思ったのだった。
活動再開と前後して加入したリードギタリストのペア・ニルソンも、かなりのテクニシャンで、即興でジョニーとの掛け合いを披露するなど、盛り上がりに一役買っている印象だった。
あまりに日本のリスナーにある意味で「媚びた」セットリストは、プロモーターからの助言を妄想してしまうところではあるが、とにかくヘッドライナーとして昨年2017のFreedom Callよりも盛り上がっていた点では、大成功だったのではないか。
ただ最終的に8時間15分をオールスタンディングのライブハウスで過ごすのは体力的にしんどいため、改善が期待されるところではある。
今回の遠征では2泊して、ホテルエクセレント恵比寿というホテルを利用した。
恵比寿駅からも徒歩5分程度でほど近い場所にあり、周辺のコンビニや飲食店も充実していて便利である。
繁華街のど真ん中であるせいか、夜もやや喧噪が気になったが、水回りに関しては満点に近く、シャワーの水圧なども満足できるものであった。またLIQUIDROOMに泊まりを伴う遠征で恵比寿エリアまで来る機会があったら、次も利用したい。
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