YouTubeで2021-12-28まで無料視聴可能となっていたSFアニメ映画『AKIRA』を視聴した。
見るのはこれが初めてで、天さん(天ぷらさんではない)をテンガ呼びすると返し技として有名な台詞「さんをつけろよデコ助野郎!」を使われてイラッとする事が度々あり、自分だけ元ネタを知らないのも悔しいから見ておこうと思い視聴。
マジでネットミーム化している有名台詞以外に何の予備知識も無かったため「アキラっていつ登場するんだろう?」という疑問を抱えながら見ていた。
2019年のネオ東京を舞台にした暴走シーンはしびれるほどかっこ良くて、つかみはバッチリであった。最初のアクションシーンめちゃくちゃお金かかってそう。それにしてもネオ東京の治安が悪過ぎて人の命が安い……。戦後の安保闘争を見てきた人たちが考えた2019年の東京なんだろうなぁという描写が多いと感じた。
物語中盤から後半にかけては、予想外の異能バトルが展開し、2021年に一通り見た『攻殻機動隊』シリーズが軍事考証や兵器の挙動にこだわった映像だったのと比べると本作『AKIRA』は大雑把な印象があった。逆にキャラクターの歯ぎしりする表情や、超能力的なバトルで相手の吹っ飛ばすくだりは、テレビアニメ『ドラゴンボールZ』に受け継がれていそうで、王道と呼べるのかも知れない。デコ助なんてほとんどベジータじゃん……。暗躍する大佐の役どころや、どろどろぐちゃぐちゃな生物兵器は『ナウシカ』『ラピュタ』といったスタジオジブリ初期作品を思い出すものであった。
BGMがおどろおどろしくて喘息の発作が出てるみたいで不気味だった。変な和風カルト宗教団体とか、近未来舞台のサイキック + サイバーパンクをテーマとする作品は、『AKIRA』から多大な影響を受けたんだなぁ、と唸ってしまうほど現代に続くテンプレ要素てんこ盛りだった。ジャパニメーション史において重要な作品という点には大いに納得しました。僕のように未視聴の人は、ぜひこの機会にYouTubeで見ておきましょう。
Amazonプライムビデオで無料視聴対象となっていた劇場版『SHIROBAKO』を視聴した。
自分にとって『SHIROBAKO』TVシリーズは「お仕事アニメ」として、とても楽しめた作品だったため、劇場版もかなり期待していた。
アニメバブルが弾けてしまった作中世界は「不況」を連想させる画作りが多く、なかなかしんどい気持ちになる導入パートであった。俺たちに感動を与えてくれた作中作『第三飛行少女隊』が、ただの大きなお友達向けお色気アニメにされてしまっていて泣ける。みんな不況と貧乏が悪いんや。
TVシリーズ完結から作中時間にして4年が経過しており、登場人物がそれぞれのキャリアを歩んでいるのは感慨深かった。同じ学校に通ってたドーナツ5人娘も、ハッキリとは描写はされないものの例えば売れっ子声優になりかけてるずかちゃんと他の4人とで、収入とか結構違ってるんだろうな的な風に察せられるところが、この作品の妙なリアルさで良いところでもある。それぞれの立場になっても学生時代の仲間というのはフラットな関係性で居酒屋に集まれるんだよな……。仲間っていいな。
宮森と宮井さんがクソみたいな荻窪周辺で飲み屋ハシゴで意気投合するシーンが最高だった。上司はクソだし取引先もクソだし仕事はクソで納期は本当にクソという魂の叫び。これこれ。これがお仕事アニメの醍醐味だよ。
TVシリーズと違ってじっくりアニメ制作工程を描く余裕は尺が無かったから仕方ないとして、4年経って移籍や独立を果たした知り合いを頼って劇場版アニメを完成させるくだりは大変いいですね。いざという時のコネは現実でも本当に大事なんだよなぁ。
木下監督を焚き付けてラストシーンを作り直して完成させた作中作『SIVA』は、作り直し後のシーンがめちゃくちゃ作画コスト上がってて笑ってしまう。木下監督の飼い犬への愛情があふれていて良かったな。大ベテランの杉江さんもTVシリーズに続いて、若者を導く重要な立場で渋くて良かった。『SHIROBAKO』登場人物にはかっこいいおっさんが多い。主人公の宮森が突然ミュージカルを始めるシーンだけ違和感が拭えなかったんですが、その点以外は概ね期待どおりというか、期待以上で面白かったです。満足。
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