元・任天堂社長である岩田聡さんの、岩田聡さんのコンテンツ。 - ほぼ日刊イトイ新聞などから拾った言葉を1冊の本として再編された書籍。
書店ではビジネス書や自己啓発的ジャンルのコーナーに並んでいたが、淡々と岩田さんの人物像を浮き彫りにしている、一風変わった、それでいてとても岩田さんらしい本だと僕は思う。
本書に載っていなかったけど、編集した永田さんと岩田さんの出会いでバルーンファイトのプログラマーが自分だと明かすエピソードがめっちゃ好き。
Webコンテンツで公開されているものを中心とした収録のため、目新しい何かがある訳ではないけど、言ってみればこれは「岩田聡さんの発言ベスト盤」な訳で、示唆に富んだ言葉がギュッと凝縮されていて、読むたびに発見がありますね。
オリジナルコンテンツとして、宮本茂さんと糸井重里さんが岩田聡さんを語るインタビューが収録されていて、「天才クリエイター宮本さんをいつも観察・分析している岩田さん」もまた、宮本さんに観察されていた事が窺えて、とても羨ましい関係性だなと和んでしまう。宮本さん曰く「色んな制度や仕組みをつくって名前をつける」のが得意と評している通り、2020年現在も残っている名物コンテンツ『社長が訊く』(『Iwata Asks』)も、これしか無いという名前なんだよなぁ。
あと、感想文にこんなこと書くなよという話ではあるんですが、僕は糸井重里って人が実は苦手で、「胡散臭いコピーライター」という印象が強くあって、糸井さんとの対話を通して壁打ちのように学びを得られる岩田さんの謙虚さ・人の良さを一層すごいなと。山内博さんから学んでいる点も同様だよね。たぶん僕は糸井さんという人が嫌いというよりは、岩田さんのような人から兄貴分として頼られていたことに嫉妬してるのだろうな。何だか読み終わって憑き物が落ちた気分です。
岩田さんが簡易な言葉で説明している、試作品を作っては捨ててブラッシュアップしたり(アジャイル開発・リーン開発)、全社員との面談をしたり(1on1)、2010年代に日本のIT企業でも当たり前に採用されるような手法を、ずっと前から実践していたんだよね。すごい人です。本当に尊敬しています。
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