現在の勤め先である会社で、僕が個人的に一目置いているエンジニアリングマネージャーの人が「2018年上半期に読んで良かった本のベスト」として挙げていたので、影響されて読んでみた。確かに名著と呼ばれるだけある内容だった。
本書は、誤解を恐れずに言ってしまえば、「人たらしの技術」について解説している内容である。対話相手の承認欲求をくすぐってやろう、という意図が透けて見える。アメリカの作家らしく、歴代のアメリカ大統領やリー将軍やキング牧師といったアメリカ史における著名人の発言からの引用や、ちょっとしたセールス担当や夫婦間の不仲解決まで、豊富な実例と共に「人間関係はこうすると上手く行く」といった説得力を持たせていて、読み易い。ハッキリ言って、世に溢れるビジネス書や自己啓発本の大半は、本書の二番煎じ三番煎じとも言えるので、しょうもない本を掴むくらいなら、これだけ読んでおけば良い気はする。
ちょくちょく犬の隠喩(愛情を全力で伝えて来る、特技を褒めて伸ばせる)があって、飼い犬と暮らした経験のある身としても、嬉しくなってしまった。
目次だけ抜き出すと、「そんなの知ってるよ」「当たり前じゃん」と言いたくなる気持ちにもなるだろう。
結局のところ、対人関係において普遍的な法則というのは、「言われてみればその通り」という内容ばかりで、読めば頭には入るものの、実際に対話の場で咄嗟に実践するのが難しいのだと思う。覚えたテクニックを実践で使うには、相当に自分を俯瞰して見る力が必要になる筈である。
日本で500万部以上も売れているベストセラーらしいのだけど、だったら日本は人づきあいの達人だらけに溢れているかというと全然そんなことはなく、誤りを認めて自ら謝ったら死ぬ病に取りつかれた人の方が多く見かけるくらいというのが現実だもの。
今年は、人たらしの達人だった元・上司を真似て、オフで会った人に握手を求めているのだが、これも同じような話で、「そりゃ握手したら悪い気はしないでしょ」と思っていても、実践するのは非常に気恥ずかしい。しかし人たらしの道は一日にして成らず。やはり実践あるのみだと僕は考える。
良い本なので、読んだら紹介されてるやり方を一つでも実践してみましょう。
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