珍しいゲーム・ミュージックに焦点をあてた本。
気になって読んでみた。
約30年に渡るゲーム音楽の歴史。ゲーム音楽がどのような変化を遂げてきたのかという、“音楽的”な側面はもちろん、作曲者/制作者たちが、厳しい技術制約に対してどう立ち向かってきたかといった“機械的”な部分も細かく解説。ゲーム音楽の進化の課程がこの1冊でわかる!
まず著者が1979年生まれらしいので、スーファミ直撃世代であろう事が内容からも窺える。スクウェアのRPGをやり込んだ人なら膝を打ちたくなるようなタイトルが幾つも紹介されている。
内容的には『家庭用ゲーム音源史』が相応しいような感じで、特にファミコン時代とスーパーファミコン時代、同時に発音できるのが何パートまでで、どのように打楽器やエレキギターといったロックサウンドを再現しようとしていたか……といった点を細かく解説していた。
目次にはファミコン~スーパーファミコン~プレイステーション~プレイステーション2と、時代の王道を行った「勝ち組ハード」が並んでいるのだけど、PCエンジンやセガサターン、ニンテンドウ64といった敗走して行ったハード達、また傍流から始まったが日本のゲーム市場では今や主流とも言える携帯ゲームハードも(任天堂のみだが)、それぞれ少ないページを割いて触れている。
全168ページなのでどうしても端折られる部分は出て来るが、家庭用ゲーム音源史において、いかにソニーが重要な役割を果たして来たか、良く分かる1冊である。ソニーから低コスト・高品質で提供されたスーファミPCM音源こそが、家庭用ゲーム音楽(特にJRPG)の表現を決定付けたと言えるだろう。
ちなみにスーファミ全盛期よりも前からゲームにのめり込んでいた人や、スーファミブーム終焉後にゲーマーとして目覚めた人には、あまり楽しめない本だと思います。
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