SF漫画の金字塔である『寄生獣』ですが、映画化やアニメ化が決まったためか、アフタ本誌で特集されたり復活掲載されたりと、このところ作品の名前を見かける機会がいつもに増して多く、『寄生獣』にめちゃくちゃ思い入れのある僕にとっては嬉しい限りです。
この手の「見た目は人間だけど異なる生物」を描いた漫画作品は現在も幾つか連載されていて、どれも面白いです。
全てネタバレ無しで紹介しますが、『寄生獣』を読み終えていること、同等程度のグロ耐性があることが前提条件です。『寄生獣』のネタバレも書きませんが、登場キャラクターには言及します。
現在3巻まで。2013年にとても話題になった作品で、自分もこの時に読みました。
死んでもすぐに蘇る「亜人」と、それを研究対象として捕らえたがる人間側という構造で、ストーリー的にはまだまだ伏線をばら撒いてる段階といった印象ですが、不死ゆえの戦術が登場するなど戦闘シーンは盛り上がります。
食物連鎖で人間よりも上の頂点に立つ生物である喰種(グール)を扱っており、プロット的にも、主人公が意図せず人間から喰種になってしまう辺り、最も『寄生獣』に近い印象です。
この作品が特に面白いと感じるのは、作中で喰種が人間側に認知されてから相当時間が経過している点で、喰種コミュニティ側にも『寄生獣』田宮良子のように、人間との共存を強く意識しているキャラクターが多数登場する点です。「俺たち人間を食べなきゃ生きて行けないけど最低限にしよう」と云う主張があちこちで登場します。初期の展開は、ちょうど『寄生獣』に例えると、田宮良子さんに匿われたシンイチ的な感じです。
また人間側も喰種対策局が組織されてから長く、物語スタート時点で既に『寄生獣』後藤さん級の超絶パラサイトと総力戦をやって、尚且つそれを退けてみせた程の経験と戦闘力を持っており、狩られる側・狩る側としてのパワーバランスが拮抗しています。
現在10巻まで出ており、1巻から登場していたキャラクターのバックグラウンドが次々と明らかになってストーリー的な盛り上がりも激しいです。とても面白い。
これは『寄生獣』と『未来日記』を足して『エヴァンゲリオン』で味付けした感じでしょうか。タイムパラドックス的なテーマが何度か登場します。あ、『未来日記』ってウンナンじゃなくて漫画の方ね。
主人公は普通の人間で、謎の組織に改造された「魔法」を使える女の子に囲まれて共同生活を送ることになるため、ハーレム漫画の文脈でも語れそうな作品ですが、物語は非常にハードです。仲間の使える「魔法」に対して謎の組織から送り込まれる刺客は反則的に強く、『寄生獣』で言えば後藤さんが次から次へとやって来る絶望感があります。ギャグシーンは多いんだけど可愛い女の子が次々と死にます。
現在8巻まで刊行されていて、「人間と良く似た人間でない何か」である登場キャラクター達が、当たり前の学生生活をとても大切に守りたいと思う心情を丁寧に描いており、幸せな結末を願わずには居られません。主人公周辺キャラクターの中ではカズミが余りにも可愛いので、カズミルートでエンディングを迎えて欲しくてしょうがないですが、正ヒロインでないし無理なんだろうなぁと今から悲しんでいます。
『東京喰種』『極黒のブリュンヒルデ』の2作品はKindle版が「集英社 春マン キャンペーン」の対象になっていて、1巻が100円、続刊も300円で購入できますね(2014-05-07までらしい)。
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