日曜日の昼下がり、株式上場を間近に控えた介護サービス会社で、社長の撲殺死体が発見された。エレベーターには暗証番号、廊下には監視カメラ、窓には強化ガラス。オフィスは厳重なセキュリティを誇っていた。監視カメラには誰も映っておらず、続き扉の向こう側で仮眠をとっていた専務が逮捕されて・・・・・・。弁護士・青砥純子と防犯コンサルタント・榎本径のコンビが、難攻不落の密室の謎に挑む。日本推理作家協会賞受賞作。
角川ホラーでお馴染みの貴志祐介によるミステリ作品。
防犯コンサルタントという肩書きながら、その実は鍵開けに精通した泥棒である榎本径と、思いつきで突飛な推理を披露する青砥純子の掛け合いで、様々なトリックの検証と否定を進める形で物語が進むので、軽快に読み進めることができる。
様々な仮説の否定を経た上で最後に提示される密室の解答は「そう来たか!」という感じもする一方で、「これが『クリムゾンの迷宮』や『天使の囀り』で戦慄の恐怖体験を世に送り出した、あの貴志祐介の作品か?」と思ってしまうほど、作風に違和感もあった。
最近のツッコミ
参号館 日記(ariyasacca)
読者としては<br>「これぞ森博嗣!」という思い込みに沿った作品が読みたいし<br>「あの森博嗣がこんな作品を!」という意外性も欲しい<br>そう思ってるのですよ、きっとね。善し悪しはすべて読者の<br>胸の中に
けど森博嗣さんは森博嗣ゾーンから外れた作品を決して送り出さないイメージ。