最近は何でもかんでもRSSフィードで情報を取得しているが、オレが常々感じていることを見事に言い表している文書を発見した。RSSフィードは全文配信、つまり、タイトルと本文を全て配信すべき、という主張である。
概要フィードの本文を読むためには、クリックで記事を開き、ブラウザをロードし、画像・Flashその他を読み込み、そしてブラウザのレンダリング時間を必要とする。全文フィードと比較するとこれはもう不便を通り越して悪夢と言える。
また面白いことに、クリックが必要な点はかつて駆逐されたポップアップ広告に似ている。「読むためのクリック」「閉じるためのクリック」。ユーザーにやらせていることは一緒である。
いつも感じているもやもやを、これだけスッキリ言い切ってくれると、爽快である。ついでに言うと、フィードに本文を配信しておきながら、途中で「続きを読む」とかいうアンカーを入れて終了するというパターンも、全く馬鹿げた話だと思う。
もちろん、タイトルだけ、或いはタイトルと概要だけしか配信されていないRSSフィードでも、欲しい情報であれば読みに行く。携帯電話の情報などは常に読みたい為、ITmedia +DのRSSフィード一覧からMobile分野の最新記事を購読している。ニュースサイトは、大抵は記事概要くらいしか配信されないので読むコストは総じて高いと言えるが、一次情報は欲しいし、1日当たりの新着記事も多いので、別に良いかなと思っている(概要か全文かを、RSSフィードを購読するユーザ側が選べるとベターだろう)。
しかし先日、同じくニュースサイトであるnikkei BPnetのRSSフィードは購読を止めることにした。理由は、「会員登録しなければ読ませてもらえない記事が増えたから」である。nikkei BPnetの中でも、日経ビジネス オンラインには、タイトルだけ見ても読んでみたくなるような記事が多いのだが、昨年のいつ頃からか忘れたが、「記事公開日の翌日以降は会員登録しなきゃ読めません」になってしまった。これでは読みに行くまでのコストが高過ぎる。
記事チェックに掛けられるコスト(=自分の自由になる時間)が、大体寝る前の1〜2時間なので、ここまで情報取得に大して高コストだと、読みたくても読めない。日経ビジネス オンラインの記事を1件読みに行く時間で、他の全文配信されているRSSフィードが5件くらい読めてしまうからだ。
RSSフィードの全文配信が嬉しいケースは、やはり顔見知りの人の日記だとか、自己紹介ページなどを参照して「自分と価値観が似ているなぁ」と感じてフィード登録した人の日記である。特に顔見知り、地元の中学校時代の友人だとか、遠くに就職してしまってなかなか会えない人だとかの近況が手軽に分かるのは、単純に嬉しい。偶に会う機会などがあっても、離れていたような気がしないし、話題にも困らない。
これも低コストで読めると助かるので、レンタルブログなどで日記を書いている友人には、「面倒かもしれないけど設定を変更して本文も全てRSSフィードに含めて欲しい」と頼んだ。有難いことに、ほとんどの人が快諾してくれた。
ブログのようなCMSが普及し、個人が気軽に記録を付けられるようになった恩恵だと思う。オレはブログが流行り始めたころ、「何がウェブログだ! たかが日記じゃねぇか! ジャーナリスト気取ってかっこつけんじゃねぇ! ぺっぺっ」などと勝手に憤慨していたが、RSSリーダーを使うようになって、あっさり改宗したのである。総表現社会、大変結構なことである。
上記のような理由で、RSSフィードは全文配信が好ましいとオレは思っている。RSSリーダーに登録されてしまったら、
どれも同じ視点で読まれることになるのだ。引用元の文書では、こういった、サイト横断的に読む/読まないが瞬間的に判じられる現象についても、巧く表現されている。
フィードの内容が競合しなくてもユーザーが持つ時間は常に競合している。フィードは時間浪費型コンテンツとしての側面がある。時間は言うまでもなく貴重である。概要フィードは中身を読むための時間的コストが高い。故に、ユーザーがフィード購読にかける時間の限界がきたとき、時間的コストを理由に概要フィードが無視されるようになる。
せっかく自分の時間を使ってウェブに公開した情報は、届き易くした方が、読む人には嬉しいし、読まれる機会も増える筈だ。
最近のツッコミ
参号館 日記(ariyasacca)
私が「続きを読む」システムを止めたのは<br>ただ面倒だったから<br><br>ユーザの時間の奪い合いがあるのは<br>そうですよね<br>私がアニメとゲームを両立できない事に通づる
そうそう、時間の奪い合いは激化してるんですよね。携帯ゲーム機や携帯電話アプリが流行るのも、隙間時間をきっちり獲りに行ってるということか。<br><br>「続きを読む」と同じくらい回り道と感じるのが、「続きはウェブで」「〇〇で検索」。良いから、言いたいことさっさと言えよ、みたいな。