Microsoft Excelは、表計算ソフトである。パソコン教室に通う人だって、そうやって教わっている。しかし世の中では、必ずしも計算・分析目的で使われているとは限らない。
警察から漏洩したファイルが、取材映像の中で、所々モザイクが掛かっていたけれども紹介されていた。エクセルである。警察の人はエクセルで書類を作る。
集計したり、計算したり、そういう目的ではない。私が見たエクセルのワークシートは、要するに、行と列を方眼紙の代わりに使っている。行の高さと列の幅をフォント一つ分くらいに設定し、原稿用紙のマス目のように使っているのだ。但し、セル一つずつに入力するのではなく、入力内容の位置決めに使う。
たとえば、3列文の余白を左側に取り、二列文のインデントを設定する。ちょっと大き目の文字を文書のタイトルとして入力するために、例えば4行と20列分のセルを結合させて大きなマスを作る。極めて無駄と感じる。何故エクセルを使うのか分からない。
ソフトウェア屋の人達も、やはりExcelを使って書類(以下、「ドキュメント」)を作る。ドキュメントとは、これから開発していくぞ、というソフトウェアの設計書やら工程表のことを指す。
例えば、リリースを前にしてソフトウェアに小さい不具合が見付かったので、コードに手を加える。makeして開発機で期待した通りの動作をしていることを確認する。ここまで、およそ3分もあれば完了する。
そこから、Excelのドキュメントを開いて手を加える。まず開くのに時間がかかる。何十というセルを結合したワークシートが乱舞する設計書だから、当たり前である。修正箇所を見付ける。セルを選択するのに、また時間がかかる。修正したら、レイアウトが崩れてしまった。仕方が無いから、巨大なセルの結合を解除し、またレイアウトを調整し、セルを結合して罫線を引き直す。こういった作業に、20分程度を要する。手を加えた箇所は、一切自動計算もグラフ化もされない。
何故Excelなのかというと、数年前にプロジェクトで使うドキュメントの標準化を行おうと社内委員会を立ち上げ徹底的に議論した結果、今のExcelを使ったドキュメントの雛型が出来上がっているからである。
正気の沙汰ではない。DBに流し込むテストデータを作るだとか、負荷テストの結果統計表を作るだとか、Excelの活躍の場は他に幾らでもあると思う。
ドキュメントを作成する手段の選択時点で思考停止している人間が、平気でこういう事を言う。それを冷ややかに見ている自分も、より良い手段を提示していない。危機的状況である。
最近のツッコミ
参号館 日記(ariyasacca)
優香!そしたら私もJフォンに戻ります(笑)
それだけで戻るのかよ!(笑)