恐らく自分にとって2020年前後で最もハマっていた、週刊少年ジャンプ本誌で連載していた『呪術廻戦』の描き下ろし追加エピソード付き最終30巻が、Kindleストアで予約注文してあった分が手元のKindleアプリに配信されて読んだ。追加エピソードもいい余韻があって大変よかった。ネタバレは書かないが『呪術廻戦』への思い入れをオタク語りしたい。
僕は1990年代後半から2010年代後半くらいまでほとんど地上波テレビ放送しているアニメ作品を見ておらず、アニメ化された『鬼滅の刃』『呪術廻戦』の出来があまりに良くて「あれ、もしかして最近のジャンプアニメ作品って俺の知ってる『ドラゴンボールZ』の頃とは全然違うのか?」と気付いて見始めた。よって、コロナ禍の煉獄さんブームに沸いてアニメ作品を視聴するようになった多くのテンプレ視聴者と大差ないのである。もちろんプライムビデオなどの配信プラットフォームが充実してきた視聴環境の変化も大きな要因ではあるのだが。いや本当に、ソニーが系列会社でアニプレックスみたいなアニメ制作会社を持っていることすら近年まで全く知らなかった。
とにかく原作マンガにどハマりしていた『呪術廻戦』がアニメ版でぐりぐり動いて、何なら原作ではごちゃっと分かりづらいコマだった戦闘シーンもビシバシにかっこいいから、すっかり近年のアニメ作品に魅せられてしまい他作品も視聴するようになったため、『呪術廻戦』は自分にとってすごく重要作品なのである。いや、『ドラゴンボールZ』も引き延ばしがひどいように感じるのは思い出補正であって、今あらためて見たらそこまでひどくない可能性もあるが……。でもアニメーションフィルムとしてかかっている予算の違いは平成と令和では段違いに思われる。
週刊少年ジャンプは令和の今も過酷な連載打ち切りレースの場で、僕は全く見る目が無いため『鬼滅の刃』『呪術廻戦』どっちも早くに打ち切られるのではないかとすら思っていた。2つとも少年ジャンプに掲載される作品にしては敵陣営が過剰戦力気味で味方陣営は主要キャラに見えても容赦なく退場して行き、全体的に展開が暗い雰囲気の作風だし。何故か主人公だけは陽キャだけど……。『鬼滅の刃』は煉獄さんの「うまい!」、『呪術廻戦』は脹相(全力お兄ちゃん)がストーリーに絡んできた辺りから「あれ、もしかしてこの作品は面白いんじゃないか?」と考え直して毎週の最新話掲載が楽しみになった。週刊少年サンデーなんかだと『葬送のフリーレン』みたく1話から「とんでもない新連載が始まったぞ!」って作品が載るんだけど週刊少年ジャンプは新人を過酷な週刊連載で強制レベリングして大化けさせてしまうところが恐ろしい。
『劇場版 呪術廻戦 0』の原作である『東京都立呪術高等専門学校』も、この頃にKindleストアでポチっと買って読んだ。「ええ! 袈裟をまとってる夏油って0巻エピソードから登場してるの!?」とひっくり返る衝撃を受けたのを憶えている。よく『HUNTER×HUNTER』に似ていると言われる『呪術廻戦』である(実際スミベタの使い方とかはめっちゃ似ている)が、夏油は明確に『幽☆遊☆白書』の仙水から影響を受けていると思われ、90年代ジャンプおじさんのハートを直撃したのである。1年生ズ3人組と五条先生との関係性は『NARUTO』だし、領域展開の決めゴマや毎話のどんでん返しは『BLEACH』で、ジャンプの系譜だよなぁとしみじみ感じる。
追加エピソードがあってもなお明かされていない設定や謎は残るものの、まずは完結してくれたことに感謝したいし、決着のつき方にも自分は納得している。最終決戦の後で味方陣営が反省会を始めて、「こいつらがもっと早く参戦してりゃ楽に勝てた(それはそう)」って言い合ってるのは斬新で面白い。『【推しの子】』最終巻でも同じような意見を見かけたが、生き残って欲しいキャラが生き残らなかったからつまらん的な感想だと、ビターエンドで終われなくなってしまうから僕は全く賛同できないなぁ。「自分がこれだけ時間を費やして読んだのに納得行かない」的なタイパ文化なんだろうか。
2024年の週刊少年ジャンプ、『僕のヒーローアカデミア』『呪術廻戦』という両翼の看板作品を完結させ、アニメ化まで行った『アンデッドアンラック』『夜桜さんちの大作戦』も2025年早々にも話を畳みそうで、守りに入らず血の入れ替えをやっていて凄いメディアだ。今も昔も少年マンガ雑誌のナンバーワンだと思う。『呪術廻戦』を誕生させてくれてありがとう。
最近のツッコミ
参号館 日記(ariyasacca)