地元の神社で大晦日から元日にかけて祭事があり、その手伝いとして早朝から境内の掃除をしたり灯籠(と言いつつ中身はLED電球)を飾り付けたりと、地域コミュニティ活動をした。
地域コミュニティ、と言えば聞こえは良いが、要するに村社会における互助会のような仕組みである。任期2年で自分も神社の手伝いをしなければならない。氏子の各家を巡って維持管理費を奉納してもらうのが大変だった。お察しの通り、僕はこの手の互助会関係はあまり好きではないし、神社の手伝いも「自分がやる事には納得しないが理解はする」スタンスで接している。消防団活動みたいなものだから、誰かがやらないといけない点は仕方ない。少子高齢化の進む地元で、あと何年間、この氏子システムが維持できるんだろうなぁ。
神社の手伝いは、仕出し弁当や夜食代くらいは貰えるのだけど、全然割に合わないんだよね。手伝いに駆り出されているのは、ほとんどが地元出身の同年代なので、まぁちょっとした同窓会みたいな雰囲気で話しながらの作業だった点は気楽であった。地元を離れている人も呼び出されていて、本当に氏子システムの呪いは深いものがあるなと感じた。
この日は朝が雨で、服はぐちゃぐちゃになるし、冷たいしで、境内の清掃や祭事の準備に苦労した。
一度家に戻り休憩を挟んで、再び神社で篝火を起こして一晩中消えないように見張っていた。僕の務める神社は伊勢神宮の系列であり、火を起こすにもライターやマッチといった文明の利器は使えず、巨大なコマみたいなもので摩擦を起こして火を起こし、その種火から篝火にしなければならないのである。五輪の聖火と言い、伝統とは大変なものだ。
火が消えないよう薪や藁をくべつつ、日付が変わって神社に参拝へ来た人には「明けましておめでとうございます」などとこちらから声をかけて回った。我々手伝い係も巫女さんも、何のことはない、お祓いをしてもらって貸し出された衣装に身を包んだだけの地元の人間なのだけど、神事の手伝いをしている者として相応に扱ってもらえるので、日本の権威主義的なところや、コスプレ寛容文化みたいなものの一面を見た気がした。考えてみれば、自分が寺社仏閣を訪ねる時も、スタッフらしき人がどんな出自なのか、深く考えたことは無かったな。
祭事で神社へ回って来た若者に暖を取らせるため、冗談みたいな量の藁を投入して派手に火柱を起こす時間帯があるのだけど、マスクしててもひどい煙で、一酸化炭素中毒になるんじゃないかと恐怖であった。火災に遭遇すると、熱さよりも煙がヤバイ、などとよく聞くが、身をもって感じた。目と喉がヤバイ。次の大晦日から元日にかけても、同じことやるのかよこれ。任期2年が憂鬱過ぎる。もう火は怖いからARとかで済むようにしてくれ~~~。
自分もこの日までまるで意識していなかったのだけど、神社に居る巫女さんもまた、(少なくともうちの神社では)地元の高校生なのである。JKの巫女さんと一緒に年を越すなんて初めての経験だぞ……。話てみると、高校生って本当にiPhone使ってる子が多いんだなと実感する。親御さんにスマートフォンをねだると、多くの場合はiPhoneになるらしい。管理がシンプルで安心なのだとか。日本でAndroidを殺したのは、カスタマイズ商法で自爆した、外ならぬ日本の端末メーカーだったんだな。
巫女を担う人には、一応神社から謝礼金も出て、高校生にしてみたらまぁまぁの日給バイトみたいなものだろう。拘束時間長いけど。彼女らが居酒屋でバイトしたい、などと会話していて、ふと思ったのだけど、巫女さんが参拝者にお神酒を注いで渡す行為は、いわゆる接客にはならんのだろうか。
僕もよく仕事帰りに寄るビアバーで高校生の子が働いているのだけど、やはり22時にはきっちり上がって帰るようだし、ビールをタップから注ぐのは当然ながら店長で、その子は我々の席までビールやフードを運んでくれる業務をこなしている。自分の理解では、このような働き方はOKで、キャバクラみたいに接客行為も入るとNGだったはず。巫女さんは神前行為だからOKの範疇なんだろうか。
参拝に来る人が減ってもの凄くヒマだった時間帯につらつら考えていたけど、とくに調べてもいないので結論としてはよく分からない。巫女さんは8時頃までは、参拝に来た人たちに、お札や破魔矢、おみくじにお神酒と、窓口のお仕事をしなければならない。我々神社の手伝い役は、明け方の4時頃に火を消して片付けを終えて解放された。
いやはや疲れた。もう1年この手伝いやりたくねぇ……。
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