世界を変える力さえ持つ「140字のつぶやき」はどうやって生まれたか? 思いがけない創業、仲間の裏切り、そして世界3億人のユーザーを獲得するまでの軌跡を、4人の共同創業者を軸に描き出した全米ベストセラー!
Twitter創業期から成長期(「ハドソン川の奇跡」や「イラン革命」など)まで、3回に渡ってCEOが交代するまでを描いたノンフィクション小説。Twitterにジョインしていた多くの人物にインタビューしており、ノンフィクションを謳ってはいるものの、全部が全部本当の話かどうかはちょっと分からない。熱量だけを頼りに潰れるかどうかの瀬戸際からTwitterというサービスを創り上げたスタートアップが、「大人の大企業」に脱皮するまでのドロドロした権力争いを描いている。
序盤は「Twitter」の名付け親でもあるノア・グラスも絡むが、彼がさっさと追放されてからは、エブとジャック両名の権力争いが中心となる。友情こじれ過ぎだろうとドン引きするくらい仲悪い。まぁベンチャーが成長する時ってこんなものなのだろうか。
Twitterのアイディアを社内ハッカソンで実装してみて、サービスとして成長して行く過程はかなり面白い。恐ろしく低い評価額で買収話を持ちかけるYahoo!のお偉いさんも、捨て台詞に「うちのエンジニアならTwitterなんて遊びでも作れる!」みたいな事を言ってて、こういう驕りが大企業を駄目にして行くんだろうなぁという感じ。
何度か登場するFacebookのマーク・ザッカーバーグが相当な悪役として描かれている点も面白かった。マークは文字通りのメガベンチャーFacebookの創業者であり、本来であれば他の物語における主役級の人物なのだけど、Twitterの物語においては、彼もまたTwitterの買収を目論む野心深い成金な若者として出ている。
翻訳も軽妙で、CEOとしてエブを教育する何とかっていう伝説的人物のオッサンも、原著でFuck連発してるらしく、「まったく投資家はくそだぜ」「お前のプレゼンはくそ最高だぜ」みたいに訳されてて笑える。
エブはTwitterを「ウェブサービス」として成長させたくて、ジャックはモバイルメッセージングこそが成長の鍵だと考えていて、どちらがTwitterを率いているかの時期かによって、力を入れている分野の違いにも良く表れているように見える。
他にも、政治などの話題にはTwitterというサービスを中立で保とうと訴えるビズ・ストーンの高潔さ、2015年現在の3rd party締め出しの姿勢にも繋がって行きそうな、周辺サービスが成長する前に買収してしまえみたいなエピソードも印象に残った。
仲の良い人を優先的に重要ポジションへ据えると、後から手痛いしっぺ返しを食らうぞ、というのがこの本から得られる教訓である。
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