先週からWeb上で連載が始まった「数字にだまされるな」というコラム、日経ビジネスアソシエという雑誌の掲載記事を編集して載せているらしいのですが、これが面白いです。
今日掲載されたのは、社会調査のウソというお話なんですが、アンケートにおける誘導質問で随分と突っ込んだ例が示されます。
下記の世論調査で、読売と朝日では自衛隊のイラク派遣延長の是非を問う直前の質問文が異なります。自説の展開に都合のよい結果を導き出そうとする誘導的質問が仕組まれていないかどうか、質問文をチェックする習慣をつけたいですね。
【読売新聞】(2004年11月世論調査)
Q あなたは、政府が、イラクの人道復興支援のために、自衛隊を派遣したことを、評価しますか、評価しませんか。
Q イラクで活動している自衛隊は、12月に派遣の期限が切れます。政府は、自衛隊の派遣を今のまま延長する方針ですが、あなたは、この方針を、支持しますか、支持しませんか。
【朝日新聞】(2004年10月世論調査)
Q アメリカがイラク戦争開戦の根拠とした大量破壊兵器について、アメリカ政府の調査団は、イラクは開戦時に保有していなかったとする報告書をまとめました。これに対し、小泉首相は国会で「アメリカなどによる武力行使を支持したのは正しかった」と発言しています。あなたは、小泉さんの発言に納得できますか。
Q イラクへの自衛隊派遣は今年12月に期限が切れます。あなたは、派遣を続けることに賛成ですか。
一応、誘導的でないかチェックしましょうねと間接的な表現に留めていますが、これはもう朝日は自衛隊派遣反対の回答を多く引き出したいから、直前の質問で自衛隊派遣に負の印象を持ちやすくしているんだよと言っているようなものですね。この記事自体が実は非常に誘導的だったりしますが、それもまた良し。
衆院選の投票日を間近に控えて各社の世論調査が連日の様に出ていますし、朝日は捏造発覚でようやく上の方にも責任が及びそう、というところで絶妙のタイミングで出て来ました。数字をバンバン発表している日経BP社のサイトで、「数字にだまされるな」と舞台裏を解説してしまうところが面白いです。前回の平均値のワナもお見逃しなく。
最近のツッコミ
参号館 日記(ariyasacca)