ミステリーと言うよりは、ホームドラマなのかな。一応、偶然手に入れた鍵を巡る事件も進行していくんだけど、メインはやっぱり西一家のすれ違いなのでしょう。
主人公の女の子は障害を抱えているんだけど、その辺も含めてもどかしい気分で読みました。
★★★ 講談社
直木賞受賞作。ファミレスで男のベルトが突然発火し、炎上したという遠隔殺人の捜査のため、警視庁の音道貴子は中年頑固爺刑事の滝沢とコンビを組まされてしまう。捜査を続けるにつれ、貴子は罪なき実行犯を助けたいと思うようになる。
貴子と滝沢の反目し合うコンビや、高速道での実行犯の追跡、そして実行犯の壮絶な最期など、見どころも多くテンポ良く読むことが出来た。
文庫版の巻末に、スーパーライターという胡散臭い職業の人の電波解説が載っているのだが、これはなかなか必見だ。ヤスケンという有名なカリスマ編集者らしい。
★★★★ 講談社
見知らぬ男の部屋で裸で目が覚めた千尋。覚えているのは、自分が一週間後の6月19日に結婚を控えていることだけだった。
千尋は自分が誰なのかを見極めようと調査を始めるが、やっぱりと言うか何と言うか、大きな権力争いのようなものに巻き込まれていく。
主人公の千尋も去ることながら、義母や家政婦など女性作家の描く“嫌な女”が沢山登場するところが個人的に楽しめる部分であった。
★★★ 新潮社
夫、再婚した妻、夫の息子の3人家族の平穏な暮らしが、夫の痴漢騒動と妻の妊娠騒動によってバラバラに崩壊して行く過程を描く。
夫の崇の痴漢冤罪の恐ろしさにしろ、息子の渉がいじめっ子側からいじめられっ子に転落する描写にしろ、この上なくリアルである。そして、円満に見えた一家の心もバラバラになって行き、文字通り崩壊である。凄まじい。
とにかく読ませる一冊で、面白かった。
★★★★ 新潮社