氏のデビュー作。デビュー作にして、メルカトル鮎には最後の事件。うーん。
名探偵が二人登場して推理対決みたいなことをやる。どうも文章を知的に見せようとし過ぎてて、クラシック音楽や中世神話、名探偵ポアロシリーズなどなど、予備知識が無い人には何が何だか分かりそうもない会話が延々と続く。
とある密室トリックの解答や見立てのモチーフは、すごく凝っていると思うんだけど読みにくかった。あとだるま落とし(ネタバレ)の解決はいくら何でも電波過ぎ。
★★★ 講談社
時系列的には、前作『翼ある闇』よりも前の話。地の文が前作より格段に読み易くなっているの点が良い。幻想的かつ、複雑な話で、最初は読み終えても何がなんだか分からない。しかし細かいところに注意して読み返すと、「おおっ!」という感じだ。
以下、この作品に対する個人的な見解。
和音というのは烏有の務める出版社の編集長で、烏有と桐璃を使って春秋のビデオの再現をしようとした。つまり、ビデオが烏有の人生そっくりに作られたのではなく「烏有の人生がビデオそっくりになぞるよう仕組まれた」(だから本書のタイトルが夏と冬の奏鳴曲となっているのだと思われる)。
桐璃が双子かどうかはイマイチ自信が無い・・・。読者は「うゆーさん」と「うゆうさん」という呼称の使い分けと服装で見分けろということだと思うんだけど、それだけではツッコミどころが多過ぎる。
読んでみて、本書の評価が真っ二つに分かれる理由が分かった気がしますた。
★★★★☆ 講談社
『夏と冬の奏鳴曲』の後日談にあたる続編。いきなり主人公が記憶喪失で大変萎えた。ウザキャラの木更津も出てきてさらに萎えた。恐らくアニメから持ってきたであろう名称が人物や喫茶店名に使われていたのも大変に萎えた。
前作『夏冬』の残された謎は、全くと言って良いほど解明されません。
★★☆ 講談社
烏有の弟、烏兎という人物が主人公の作品。かなりつまらなかった。
特に物語の大半を占める生徒会どうこうの駆け引きに関しては、作者は書いてて楽しいが読者は読んでてウザイだけという・・・。そんな学校あるワケねーだろ!
★★ 講談社
銘探偵・メルカトル鮎の関わった事件を集めた短編集。長編シリーズとはうって変わって、キャラ小説的なノリが結構面白い。
タイトル通り、「メルが解決する為だけ」に殺人が起こるので、被害者の生い立ちとかの余分な情報はほとんど無い。それもあって、やたらとテンポ良く話が進む。
それにしても、メルは性格悪いなぁ。
★★★★ 講談社