読書感想文

森 博嗣

S&Mシリーズ

Vシリーズ

すべてがFになる

第1回メフィスト賞受賞。完全にコンピュータに制御された環境という、孤島モノの新境地を開いた(と勝手に思う)作品。

死体登場シーン、時間トリックなどすごく新鮮。ただ、登場人物がみんな理系なので,エキセントリックな会話について行けないとかなり辛いものが。あと、謎解きのVR空間はなんかなーと思う。

S&MはN大工学部助教授の犀川先生とN大の生徒、西之園萌絵のイニシャル。

★★★★★ 講談社

冷たい密室と博士たち

喜多先生初登場作品。

前作のぶっ飛んだ設定から一転、結構日常的な場所が舞台。トリックはありがちだが喜多先生が面白いので良し。

★★★ 講談社

笑わない数学者

東海ミステリィとして、舞台がどんどん広がる第3作目。

事件のトリックよりも像の消失の謎を考えるのが楽しい。謎解きは簡単だけど天王子博士と犀川先生の会話など、なかなかに哲学的で考えさせられる作品。あと萌絵タン強過ぎてキモイです。

★★★★ 講談社

詩的私的ジャック

題だけ見るとなんのこっちゃな作品。

この作品はちょっと辛い。登場人物がボーカリストらしく、彼の唄う曲の歌詞が出て来るのだが、見ててかなり恥ずかしい。トリックよりも動機の解明に重きを置いたお話。

★★ 講談社

封印再度

シリーズ第5弾。師弟コンビの仲にも大きな前進が。

壷の謎の真相はおおっ!と思わせる。それにしても英題が洒落てるなぁ。その英題がまた、本の中身を表現しているのも上手い。

★★★★ 講談社

幻惑の死と使途

奇術(マジック)を主題に置いたシリーズ6作目。奇数章だけで構成されている。

事件の謎はかなり奇怪で魅力的だが、種明かしされるとなーんだという感じ。推理小説ってそういうものかもしれんけど。実は手品の勉強になる本だ。

★★★ 講談社

夏のレプリカ

萌絵の親友が登場するシリーズ7作目。萌絵に負けず劣らずの天才っぷり・・・。偶数章だけで構成されており、前作『幻惑の死と使途』と同時期に起きた事件を描く。

犯人はかなり意外で、哀しい結末。

★★★☆ 講談社

今はもうない

これはやられた!シリーズ物だからこそ成り立つ大仕掛け。

この仕掛けが凄すぎて事件そのものの印象が薄い。あと犀川先生活躍しなさ過ぎ。もっと出してやってよ。ミステリィであり、恋愛小説でもある本。

★★★★☆ 講談社

数奇にして模型

大御坊というとてつもなく濃い新キャラの出てくる作品。事件の舞台も模型交換会という、大御坊に負けず劣らず濃い場所。

犯人は結構簡単に分かってしまうんだろうけど、何故その犯人が被害者の首を切る必要があったのか、という疑問に対して犀川先生の出した解答が、そのものズバリで良い。

★★★★ 講談社

有限と微少のパン

シリーズのラストを飾る作品が、どうにもフォローのしようの無い駄作となってしまった。うーん。

実はテーマパークの住人全員の演技(ネタバレ)だったというのは無理がありすぎる。ムチャクチャだ。そんなの使って許されるのはアガサクリスティだけだ。登場人物の会話はいつも通り軽快で洒落ていて好きだが。

★☆ 講談社

黒猫の三角

新シリーズ第1弾。Vは、主役である魅惑の未亡人紅子のV(ヴぇにこ、と読ませるらしい。んなムチャな・・・)から取ったようだ。

真相には賛否両論だろうけど、私的にはアリかなと。

★★★★ 講談社

人形式モナリザ

シリーズ2作目。だいぶキャラがこなれて定着してきた印象。

サクサク読めるけど、あまり印象に残らない。しこちゃんは良い。

★★★ 講談社

月は幽喉のデバイス

あーあやっちゃったー!って感じのシリーズ3作目。

んんーー??これは・・・どうなんだ???映像化すれば面白いかもしれない。けど文章でこのトリックを説明すること自体無理がある気がするぞ。

★☆ 講談社

夢・出逢い・魔性

うわっまたやっちゃったよオイ!なシリーズ4作目。ちょっとキャラの濃さについて行けなくなってきた。あのS&Mシリーズのドライな理系キャラ達が懐かしい・・・。

夢の中の女に殺される、という事件自体は魅力的だが、それに対する解答が、ああそうなのっていう感じ。タイトルが『夢で逢いましょう』をもじったところは良く考えたなぁと。さらに英題もYou May Die In My Showとは洒落ている。そんだけ。

★★ 講談社

魔剣天翔

どこぞのゲームタイトルのようなシリーズ5作目。なんとか盛り返してくれた、良かった。

事件の密室の設定も魅力的だが、登場人物の人間模様がかなり面白くなってきた。七夏のウザっぷりがイカス。

★★★☆ 講談社

まどろみ消去

著者初の短編集。この人は文の最後に印象的なフレーズを残すから、意外と短編の方が合っているかもしれない。

★★★★ 講談社

今夜はパラシュート博物館へ

著者3つ目の短編集。ふたつのシリーズの登場人物が交差する話があり、今まで以上にファンサービス作品的な色合いが濃い。

この中では『卒業文集』が良かったかな。

★★★ 講談社

捩れ屋敷の利鈍

講談社ノベルス20周年記念の書き下ろしらしい。立ち読みできないように袋綴じなのがイヤな感じだった。目玉は、S&MシリーズとVシリーズのキャラの共演。(なんか最近多いような・・・)。

メビウスの形にねじれた屋敷での殺人事件なんだが、オレの想像力が無さ過ぎる為か、イマイチ分かりにくい。見取り図くらい載せてくれ。シリーズのファン以外、ほぼ買う必要は無し.

★★ 講談社

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