読書感想文

京極 夏彦

妖怪シリーズ

時代妖怪シリーズ

姑獲鳥の夏

京極堂こと、中禅寺 秋彦の初登場作品。認識に関する圧倒的な含蓄は読んでいてとても面白い。

関口が京極堂に憑き物落としを頼むシーンが鮮烈。死体が出てくるシーンも衝撃的。

★★★★☆ 講談社

魍魎の匣

第49回日本推理作家協会賞受賞。幾つもの事件が複雑に絡み合い、最後に1本に繋がる様は圧巻の一言。

何回読み返したか分からない本。激おすすめ!!!

★★★★★ 講談社

狂骨の夢

面白いんだけど、シリーズの中でも特に分かり難い。朱美さんの姉御肌っぷりはとても良し。

謎解き部分が大幅に加筆されて、トリックの解説箇所が分かりやすくなった文庫版だったら★★★★。あと、この作品には前作のネタバレが含まれるので、妖怪シリーズを読むなら、絶対に最初に読まないこと。

★★★ 講談社

鉄鼠の檻

白と黒、現世と浮世、生と死、内と外・・・・・・。二面生が非常に前面に出された作品。謎解き要素は皆無だけど、色々考えさせられる。

"悟り"に関する解釈なんかは、なるほどなと思わせられる。榎さんの壊れっぷりもすごい(笑)

★★★★☆ 講談社

絡新婦の理

『魍魎の匣』以上に、沢山の事件が複雑に絡み合し、過去の作品の人物もかなり再登場する。

読了後に改めて冒頭のシーンが印象に残る。

★★★★☆ 講談社

塗仏の宴 宴の支度

短編集的な作品だが、全ての事件が『塗仏の宴 宴の始末』に少しずつ繋がっている。

もちろん一つ一つの話に妖怪が出てくるし、単純にそれらの考察モノとして読んでも面白い。初めて敦ちゃんのキャラが前に出てきた気がする。

★★★★ 講談社

塗仏の宴 宴の始末

あれだけ広げた大風呂敷を、よくまとめたなぁという感じはするが、何と言うか、かなり反則気味な手段が登場するからなぁ・・・。

京極堂の因縁キャラの登場が、今後の美味しんぼ的展開を予感させ、少々不安。

★★★☆ 講談社

陰摩羅鬼の瑕

鳥の剥製だらけの屋敷で起こる花嫁連続殺人事件に、榎木津と関口が派遣されて、てんやわんや。

何か、絶対に短編向けに暖めてたネタで無理矢理長編にしてしまったような冗長さを感じました。犯人や真相がいつもより格段に分かりやすいのは、何か狙いがあるのかなぁ。

儒教に関する京極堂の含蓄は、やはりと言うか面白い。しかしそれらも含めて、『百器徒然袋』の方に載せても良かったのではないか、と思うのだが。これだけ待たせたんですし、正直もっと凄いの期待してました。

★★★ 講談社

百鬼夜行 - 陰 -

妖怪シリーズのサブキャラ達にスポットを当てた短編集。シリーズのファンなら、なるほどと思うエピソードてんこ盛り。

あくまでもシリーズ本編を補完する形の本なので、これ単体の評価というのも付けようが無いです。

★★ 講談社

百器徒然袋 - 雨 -

笑えます、マジ面白い。主役はあの榎木津迷探偵。榎さんファンなら満点といったところか。

しかし、益田君ってこんなキャラだったっけ・・・。

★★★ 講談社

今昔続百鬼 - 雲 -

多々良先生が主人公という、また微妙な番外中編集。より、キャラ小説寄りになった印象。

話は普通に面白いけどね。違和感バリバリの挿絵がなぁ・・・・・・。

★★★ 講談社

百器徒然袋 - 風 -

天上天下唯我独尊完全無敵探偵神、榎木津礼次郎とその下僕達の活躍する中編三編を収録した一冊。

今回は薔薇十字探偵社への敵対勢力みたいなものもチラホラ現れ、『僕』や益田君が一層酷い目に遭ってしまう。

地の分で会話にツッコミを入れる等、どんどんライトノベルのような方向に進んでいる気がするのだが・・・。京極堂がドモったりとか、キャラが変わっていやしないか。

★★★ 講談社

嗤う伊右衛門

第25回泉鏡花文学賞受賞。"お岩さん"で有名な四谷怪談を京極風に描いた小説。すごく良いお話。泣ける!

★★★★☆ 中央公論社

巷説百物語

時代劇風の短編集。必殺シリーズに似てる・・・らしい(見たこと無い)。

一筋縄で行かない一味が、あの手この手で悪党を懲らしめる痛快な物語。又市は、まさしくこの時代の京極堂。個人的には『柴右衛門狸』、『柳女』が好き。

★★★★☆ 角川書店

続巷説百物語

巷説百物語の続編。今回は連作短編集的に、短い話が大きなひとつの話に繋がる。又市一味の仲間も続々登場。キャラクターのストーリー背景の掘り下げも沢山ある。

最後の幕切れはとても悲しいけど、このシリーズはこのラストがベストかも。

★★★★★ 角川書店

どすこい(仮)

『すべてがデブになる』、『パラサイト・デブ』など、徹底的にデブにこだわったパロディギャグ小説。

笑えるっちゃあ笑えるけど、似てるのはタイトルだけで話は全然パロディ元と違う。表紙は汗臭いなー(笑)

★★★ 集英社

ルー=ガルー 忌避すべき狼

一般公募した近未来の設定を盛り込んだ画期的な小説、らしい。

コミュニケーションが希薄になった未来社会で、天才少女達が連続児童殺人事件の真相を解明しようとする。

様々な近未来アイテムが登場するものの、相変わらずの京極文体というギャップが面白い。のだけれど、何と言うかキャラクタが余りにもアニメチックと言うか媚びを売ったような感じで気持ち悪い。

最後は犯人と対決と言うか、もう戦争状態。犯人の狂気じみたところはなかなかよろしい。

★★ 徳間書店

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